<月刊>アニメのツボ

UPDATE:2014.7.25

月一コラム「氷川竜介の“チャンネルをまわせ!”」公開中!

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TVのチャンネルを回すように、予想しない雑多なネタと出会ってみたい。
業界の旬なトレンド、深いウンチク、体験談などを満載。
アニメ評論家の第一人者ならではの、ユニークな視点でつづる月一コラム。
大量にあるアニメ作品群。どうやって
自分だけの「お宝」にたどりつくか?
そのツボを探ります!

今回でこの連載もいったん終了となりました。お名残惜しいですが、バンダイチャンネルはまだまだ続きます。最終回は「どうすれば膨大な作品群から自分だけの《お宝》を発見できるか」という話をしてみましょう。

結論をシンプルに言えば、そのキーワードは《縁》です。

現在進行形でこの文章を読んでおられるあなたとも、《縁》があると思います。たまたまページを開いてみたという方もいるでしょうが、この文章の側からあなたの前に現れることはできませんので、読者が何らか手順をふんだ行動の結果、ここに到達したわけです。つまり価値観に基づく《選択》が行われている。偶然に思えることの多くにも、実は「行動の選択」という必然が潜んでいるんですね。その選択と選択を結ぶリンクがここで《縁》と呼んでいるもので、オカルト的な話をしたいわけではありません。

あるアニメ作品を観た場合も同様で、そこには必ず《縁》を感じさせる入り口があります。アニメが終わって何の感情も生まれなければそれはスルーしていいのですが、好きになったり泣いたり……あるいはここが大事なんですが、キライになったり怒ったり不快になったとしても、とにかくなんらかの感情が動けば《縁》があるんです。

アニメを含むエンターテインメントの目的は、日常では動かないタイプの感情を動かし、いっとき浮き世を離れて魂を解放した後で日常へまた戻っていただくことにある。作り手は総力をあげてそれをめざし、アニメを送り出しています。ならば、同調も反発も、どちらも《縁》だということになります。

それで《縁》があるなら、さらにもし「お宝」を発見したいなら、次の行動をとってみるのがベストです。どういう行動かはそれぞれ自由ですし、選択肢はいくらでもあります。スタッフやキャストの名前を片っ端から検索してもいいですし、SNSなどに感想を書いて反応を探ってもいいし。友だちに電話したっていい。いっそのことファンクラブを結成するのもアリでしょう。何なら作り手になって、アニメ業界へ飛び込むとか。その選択自体も行動の一部ですし、考えるよりも動いたほうが早かったりもします。

重要なポイントは「ポジティブな連鎖」であり続けること。《縁》は《縁》を呼びこみ、点と点が結ばれて線になります。そしてこの線と線がいくつも重なっていって連鎖を形づくり、やがて二次元的な拡がりをもつネットワークに育っていくのです。この平面化された《縁》の連鎖こそが、実は「宝探しの地図」なんです。やがてそのネットワークが、必ずあなたを宝へと導くことでしょう。

面白いのは、その地図から「自分自身」が発見できたりすること。さらに「未来」も見えたりします。それもまた「お宝」です。どういうルートをたどって、いまこのアニメを観てるのか。ここでどういう新たな出逢いがあって、そこにどんな《縁》が潜んでいて、さらなる《縁》はどうすれば呼びこめるのか。この連鎖をつなぐ価値観は、いったい何なのか。自分とどういう関係があるのか。

クズを排除していって最後にでっかい「お宝」を見つけるのか、ひとつひとつの出逢いを大事にして「お宝」とするのか。それも自分で決めることです。その決め方が価値観と呼ばれるものですし、宝に向かっていく推進力は、少しでも多くの《縁》を呼びこむ価値観の磨き方と、それを行動に転換する覚悟だと、そう考えることだってできるでしょう。

途中途中で選択のブレはあったとしても、結局のところ人生は個々人の一本道です。《縁》と《縁》を結びながら、アニメとともに過ごしていく長い長い時間。そのトータルな流れに乗った価値観の連鎖もまた、ひとつの「チャンネル」ではないでしょうか。自分だけの行動力でつくりあげた連鎖の先には、必ず「お宝」が見つかることを確信してください。

「バンダイチャンネル」には、そのための材料が潤沢にあります。

どうかすてきな「お宝」が発見できますように。一年間のご愛読、ありがとうございました。
PROFILE
アニメ特撮研究家 氷川竜介
1958年、兵庫県姫路市生まれ。東京工業大学卒。
アニメ・特撮を中心とした文筆業。明治大学 大学院客員教授。
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