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UPDATE:2014.10.25

業界著名人がアニメ作品をオススメ!

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原点となったアニメ体験の思い出を交えつつ、クリエイターが自身と自作を振り返るインタビュー。今回は最新作『四月は君の嘘』(原作:新川直司)が話題、シリーズ構成・脚本を手掛けた吉岡たかをさんの登場です。
バンダイチャンネルのサイト内で検索していただければすぐ分かりますが、とにかく多作です。そして全話脚本が多い。エロチックでエネルギッシュな作風の作品が有名になりがちですが、一方で子ども向けやスポーツものなど多種多彩な作品に対応。ゲーム、マンガ、ライトノベルなど別メディアの原作をアニメ化してヒットに導いていることにも要注目です。その脚本家人生は、どういうところから始まり、どんな方法論があったのでしょうか。そして「アニメ脚本」と他メディアの決定的な違いとは? 今月もじっくり浮き彫りにしていきましょう!
マンガに浸っていた少年時代
――まず、どんな子ども時代を過ごされましたか?
吉岡
もちろんマンガや特撮、アニメに漬かっていました。全部一緒の時代ですから、アニメだけ特別ということはなくて。とはいえ近所に住んでいたお姉さんがアニメーターで仕事を見ていましたから、物心ついたころから「アニメはこうやってつくってるんだ」と、マンガの描き方より先に知っていました。その分、アニメに関して早くから若干さめた目があったかもしれません(笑)。
――そのときの作品は何だったんですか?
吉岡
その方は茨城と東京を行ったり来たりのフリーの動画マンでした。それで『宇宙戦艦ヤマト』(74)の遊星爆弾の動画に落書きをして、ものすごく怒られてしまい(笑)。他は『哀しみのベラドンナ』(73)があったので、虫プロ系メインだったんでしょうね。遊星爆弾は1話で当然放送前ですから、後に「とんでもないことしてたな」と(笑)。もちろん描き直されてますが、アニメよりマンガがメインで追いかけていた記憶があります。
――印象にのこる作家や作品は?
吉岡
永井豪とダイナミックプロ、藤子不二雄さん、石ノ森章太郎さん、楳図かずおさん、水木しげるさん、梶原一騎さん……挙げきれないですね。雑誌もほとんど買っていて、一番好きだったのが「ぼくらマガジン」なんです(月刊誌「ぼくら」を週刊誌化、1969年11月~1971年6月)。あっという間に休刊しましたが、あの影響が大きいです。永井豪作品だと『ガクエン退屈男』や『魔王ダンテ』、『仮面ライダー』も『タイガーマスク』も途中まで連載されて「少年マガジン」に移籍します。
――小学校低学年で『ぼくらマガジン』だと、少し背伸びした感じでは?
吉岡
作者を追いかけてコミックスまで買ったりしていましたから、マンガに関してはかなり早熟でした。特に永井先生は「これはなにか違うぞ」と感じていて、デビュー作の『馬子っこきん太』ら追いかけていましたから、ファン歴は長いんです(笑)。「これはなんか違うぞ」と子どものころ影響されたものって、ずっと自分の中に残りますね。確実に自分の一部になっています。
――そういう経験は、アニメにもあったのでしょうか?
吉岡
アニメも好きだからずっと観てはいましたが、「アニメでも、なにか違うものがある」と思ったのはずっと後、中学1、2年くらいです。思春期入ったころに『無敵超人ザンボット3』(77)で「人間爆弾なんて、こんな話、いいの?」と思い、それがきっかけでアニメも熱心に観るようになりました。実は時々そのアニメーターのお姉さんに東映動画などスタジオ見学をさせてもらってまして。スタジオZ(ザンボット3を担当した作画スタジオ)にスイカ持っていっしょに行ったことがあるんです。スタジオ立ち上げてすぐのころで、そのとき金田伊功さん(ロボットアニメの作画手法を変革したアニメーター)が「今度やるの、こんなに線があるんだよなー」と愚痴りながら(笑)放送前のザンボットの設定を見せてくれて、最初はそれで観ようと思っただけだったんですけどね。
――放送前の遊星爆弾の動画に触れ、金田さんのスタジオ立ち上げに行くなんて、嫉妬を覚えますよ(笑)。
吉岡
でも、後から考えて「あれってすごかったんだ」ですからね。
――アニメの神様に呼ばれている感じがします。
制作進行としてアニメ業界入り
――そして、アニメに「脚本」を意識するようになった作品は?
吉岡
やはりターニングポイントは『機動戦士ガンダム』(79)です。「ガルマ散る」(第10話)のあのクールな感じで初めて「脚本」が気になりました。戦いに駆け引きがあって、隠れて待ち伏せして撃つとか子どもには分かりづらい頭脳戦の感じ、そしてラストの年代記っぽいナレーションなど、「脚本って、すごいな」と。
――それですぐ勉強した……というわけじゃないんですよね?
吉岡
違うんです。実は自分から「脚本家になろう」と思ったことは一度もなく、偶然なってしまったもので。
――その辺の経緯も知りたいです。
吉岡
そもそもは特撮志望で学校も特撮科に進み、特撮の現場に行きたかったんです。でも自分が卒業するころは、まだ美術造形か光学合成しか求人がなく、どうしようかと。そんな時に同級生の神戸守が就職先を探してたので、自分がふざけ半分で『アニメージュ』に載ってた「トップクラフトが『風の谷のナウシカ』(84)の制作進行を募集中」という記事を見せたら、本当に入社してしまい(笑)。
――なんと、神戸守監督の就職斡旋が初のアニメ業界との接点とは(笑)。
吉岡
そうそう、あれがなければ今の神戸はいません(笑)。「だったら俺もできるかな」とシンエイ動画を受け、やはり新卒で進行を始めました。だから、アニメ業界入りは実は相当早いんです。
――神戸さんとはフィルムをつくった仲ということですか?
吉岡
自主映画をいっしょにやってて、彼が監督で自分が主役をやったり、逆に私が監督で彼がチラチラ出ていたり。まったく『アオイホノオ』みたいな感じです。時代もいっしょで、同時多発的だったんでしょうね、あのころは。
――特撮の手法は、どれぐらい凝っていたのでしょうか?
吉岡
エリアル合成(コンデンサレンズに像を投影して再撮影する合成機)など学校に機材はあったのでやりました。ヒーローはコスプレに近いものの、敵側は着ぐるみ的な造形もやりましたし、流行していた特殊メイクもとりいれました。寮生活で人も余ってたから自主映画をつくるには申し分ない環境ですが、ネックは「女優がいない!」と(笑)。
多彩なキャリアを経てアニメ脚本へ
――シンエイ動画で進行をやられてから脚本までは、長いですよね。
吉岡
原恵一さんが『ドラえもん』の進行をやっていたころで、私は『パーマン』(83)班でした。『オバケのQ太郎』(85)の立ち上げ後に辞め、ビデオ業界に移って3年ぐらいしてゲーム業界に行き、転職含めトータル7年くらい勤務してから勤務してからフリーになります。
――それで脚本に手を染められるきっかけは?
吉岡
ゲーム会社で開発から宣伝部に異動したら、宣伝や広告の仕事が楽しくて。それでコピーライターとして独立してはみたものの、すぐバブルが弾けて広告の仕事がなくなってしまい(笑)。本当に貧乏になったので、ツテを頼って雑誌系のライターを始めました。ゲーム、コンピュータ雑誌に格闘系雑誌、通販カタログにマニュアルと書く仕事は何でもやり、その中に「ゲームのシナリオ」があったんです。それでゲーム版『金田一少年の事件簿』のとき、メイン担当の富田祐弘さんから「アニメの脚本もできるんでしょ?」と聞かれたので、「はい、できます!」と。やったことないのに(笑)。
――それってすごく大事なことですよね(笑)。
吉岡
ええ。それで『下級生』(98)という「18禁ゲームを一般作品にアレンジする」というハシリの仕事を紹介していただいたのが、最初のアニメ脚本です。雑誌のゲームレビューで原作をよく知っていたのもラッキーでした。でも、早い段階でメインのライターさんが降板されて自分一人になってしまい、「残りお願いします」「ええっ!?」と無茶振りされて、仕方なく10話分は残っていたあらすじを考えました。脚本原稿の書式すら、よくわかってない素人だったのに(笑)。
――デビュー時から構成に近いお仕事だったんですね(笑)。ゲームと比べると、アニメの脚本は何が違うのでしょうか。
吉岡
一人称かどうかが大きいですね。アドベンチャーゲームは主人公の目線しかないから、映像とは180度違う。ゲームはセリフが多くても大丈夫ですが、映像は尺が決まっていないので、面白い会話の積み重ねが入らなかったりする。ポイントをきちっとつまんで引き算で見せないと、まとまらないんでまるで違う仕事なんです。
――ゲーム会社にいて違いが分かっていたから、すぐ対応できたんですね。
吉岡
それからずっとアニメ脚本の締めきりが絶えなかったため、流されるまま今に至ります(笑)。きっかけも何もなく、誰か師匠に相当する人から脚本を教わったこともなく、気が付いたら脚本が専業になっていました。だから今も名刺の肩書きは、ただの「ライター」なんですよ。
最新作はピュアな音楽・青春もの『四月は君の嘘』
――それでバンダイチャンネルでは吉岡さんの作品をあまりにも多く配信しているので、逆順で最新作からうかがいたいと思います。ノイタミナ枠で少し意外な感じですし。
吉岡
何より自分がいちばん意外に思ってますから(笑)。
――定番の質問ですが、まずきっかけは?
吉岡
セキレイ』(08)『WORKING'!!』(11)のプロデューサーからのご指名です。『セキレイ』は2期の『セキレイ~Pure Engagement~』(10)後半で原作に追いついてしまい、メインキャラが死ぬ話を原作の極楽院櫻子さんから了承を得てオリジナルでつくりました。プロデューサーがその回を気に入っていたそうで、「吉岡さんにはこの原作(新川直司による)が絶対に向いている」という大英断(笑)で入らせてもらいました。
――原作のご感想はいかがでしたか? 特に音楽の部分など……。
吉岡
ものすごく詩的で、音楽を一生懸命ビジュアル化して感じさせようとしている作品ですね。ところがアニメだと最初から音が出てしまうから、根本から変えなければいけない。「難しいぞ、これ」と思いました。でも物語がものすごく面白く、キャラクターと世界がキラキラ輝いている感じもして、かといって夢を描いているわけではない。青春ものとして、非常に優れた作品です。自分も新しい分野に挑戦しないとマンネリ化しかねないし……と思い、「これは一人で書きたい」と提案したら「2クールです」と聞いてビックリ(笑)。ともかく原作から大きく外れることなく、いかにして映像として毎回お客さんに楽しんでもらえるか、懸命にやっています。
――実際に書かれて、どこがポイントになりましたか?
吉岡
やっぱり音楽ですね。短いコンクール曲の中に回想シーンがあると、曲の尺に収まりきらないから、イシグロ(キョウヘイ)監督とはずっと処理を検討してました。マンガだからこそ成立している表現も全部整理しなければならない。本当に細かい調整なので、目に見えないような仕事です。でも監督が新人らしからぬものすごい画づくりをしているので、自信を持ってオススメできる作品です。
――何か脚本上での手応えはありますか?
吉岡
これに関しては脚本は裏方さんに徹し、出しゃばらないと決めました。注目してほしいのは、監督が際限なく高めていくクオリティです。まずは映像に酔いしれてもらいたいなと。先行上映会の大画面で観ましたが、劇場版とまったく遜色なく、すばらしいです。お客さんといっしょに観て、笑えるところは笑ってもらったし、みんなに良かったと言ってもらえて、感触がよかったのでホッとしました。
――脚本作業はまだ残っていますか?
吉岡
残り2話分です。原作と同時に終わる予定なので、自分も先がわからないまま書き進めてきました。1クールものではラストを決めてから逆算して構成を組みますが、今回はリアルタイムで原作といっしょに走っている感覚も新鮮で。原作ファンも期待に応える内容になっていると思います。
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