クリエイターズ・セレクション

UPDATE:2016.1.25

業界著名人がアニメ作品をオススメ!

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感情表現に重きを置いていたアニメ原体験
――このシリーズでは原体験含めてうかがっているのですが、菊地監督がアニメを意識して見るようになったのはいつごろでしょうか。
菊地
世代的にはやはり「ヤマトブーム」の影響が大きいです。「こんなものがあるんだ」と面白く見ましたが、夢中になったということでは、むしろ劇場版『銀河鉄道999』(79)の方ですね。
――同時期だと、『機動戦士ガンダム』(79)はどうでしたか?
菊地
青森に住んでいたので放送局が少くて、ムーブメントは遅れて来るものだったんです。それで劇場版(81)のころに、あまりにもみんなが「ガンダム、ガンダム」と騒ぐもので、「意地でも見てやるもんか!」と思っていたんですよ(笑)。結局、後でちゃんと見ましたが、当時は『銀河鉄道999』に一番惹かれ、同じ松本零士さん原作の『新竹取物語 1000年女王』(81)も好きでしたね。もちろん、子どものころは『マジンガーZ』(72)など、アニメはひと通り見ていましたけど。そもそもアニメは遅れて放送されるので、『聖戦士ダンバイン』(83)の後半まで観て上京したら、東京ではすでに放送が終わっててまるっと抜けたりしてたんですよ(笑)。
――ビデオソフトもない時代ですから、見逃したら終わりでしたね。どんなジャンルがお好きでしたか?
菊地
主にファンタジーやロボットものです。他に衝撃的な作品だったのは富野監督の『伝説巨神イデオン』(80)ですね。特に劇場版で、「発動篇」でキッチンの首が飛ぶシーンは強烈でしたし、湖川友謙さんの描く立体感あふれる絵もすごく良かったです。
――どちらかというとドラマを重視して見られていた方ですか?
菊地
きっとそうでしょうね。つくりこまれた世界観に惹かれるというよりも、感情芝居をしっかり見せてくれる作品が好きでした。たとえば『うる星やつら』(81)のTVシリーズでも、押井さんのテイストが強い初期よりも、「ときめきの聖夜」(第19話・第20話)以降の方が好きで。「アニメでもこんなことができるんだ」と感動しましたね。
――確かに、以後は感情の起伏をしっかり見せてくれるようになりました。
菊地
雰囲気でもっていくタイプの作品が大好きなんです。
劇場版『超時空要塞マクロス』との出会い
――それで映像業界を目指されるようになった動機は?
菊地
もともとはアニメ業界を目指していたわけではないんです。むしろ子どものころはコンピュータ少年で、自分でプログラムを組んで3Dを動かしたりしていました。
――その当時で3DCGというと、かなり最先端ですよね。
菊地
ワイヤーフレームで動きをつけたりしていましたが、当時のパソコンのスペックだと1枚レンダリングするのに30分くらいかかってしまい、「全然使いものにならない!」という感じで(笑)。パソコンは出始めのPC-8000の時期です。
――8ビットマシンが家庭に入ったころですよね。興味のきっかけは?
菊地
小さいころから電子工作が大好きで、ラジオやアンプをつくっていました。数年ごとに東京の秋葉原に出かけては部品を買い集め、「うひょー!」と大興奮。そんな電気少年だったんです。
――それが電機系ではなく、アニメ業界へ転じたのは?
菊地
上京して大学で悪友ができたら、『うる星やつら』のTVシリーズを「見ろよ!」と言われ、ビデオで延々と流し続けて布教されたんです。それで「面白いなー」と思いながら全話観たわけです。
――えっ、200本近く(全195回、215話)あるのでは。
菊地
もちろん全部観ましたよ(笑)。それである瞬間、「もしかしたら俺にもできるかも?」と思ったわけです。
――それは作画と演出、どちらですか?
菊地
作画です。映画好きだったので演出にも興味はありましたが、当時はずっと女の子とバイクばかり描いてて……って、今でもあんまり変わらないか(笑)。
――そこから業界に入るきっかけは?
菊地
専門学校ではないので特にツテはなかったんですが、たまたま『アニメージュ』でタツノコプロがアニメーターを募集していたので「よし、応募してみよう!」と。それで採用されて、業界に入りました。その後関わった作品に劇場版の『超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか』(84)がありましたが、「これをやるのか……」と尻込みしましたね(笑)。TVシリーズは見ていたものの、これはキツイなと。
――当時としては、作画の密度が全然違いましたからね。
菊地
実制作はほぼ終わりかけていたので最後の方を少し手伝ったぐらいでしたが、あのみっちりした密度感には驚かされましたね。「河森作品には二度と関わらないぞ!」なんて思いながら描いてました(笑)。
――後の運命を知らずに(笑)。それがまた河森さんとごいっしょされるようになるのは『創聖のアクエリオン』(05)からですか。
菊地
ええ。知り合いが「河森さんとサテライトで仕事をしているんだ」「ふーん、大変だね」なんて他人事で聞いていたんです。ところが「絵が描ける演出家が必要だから、やってよ」と頼まれ、最初は1本だけのゲスト演出のつもりでした。ところが河森さんは『マクロスゼロ』(02)の制作で忙しく、まったくスタジオに現れない。なんとか進めようと現場で動くうちに、気がついたら中心メンバーになっていたというわけです(笑)。
3DCGの可能性を感じた『創聖のアクエリオン』
――『アクエリオン』は当時のTVシリーズとしては、作画と3DCGによるハイブリッド表現が先駆的でした。
菊地
そのハイブリッドをするにしても、河森さんがいないと段取りが分からないわけです。制作デスクやCGチームを回って、「こうすればいいんだね」と聞いて、なんとかしていきました。『課長王子』(99)では3DCGはAICさんに一任していたので、作画と組み合わせてやる3Dはほぼ初経験でしたね。
――今は3DCGメカとキャラのハイブリッドでは第一人者という印象ですが、そこから始まった感じですか。
菊地
気がついたらそうなっていたので、自分でも驚きです。
――スタッフさんとの出会いにも恵まれた感じでしょうか?
菊地
CGでひとり変な動きをつけてくれる人がいるなと思ったら、それがオレンジの井野元(英二)さんだったんです(『マクロスF』ではCGIディレクター、『IS <インフィニット・ストラトス>』ではCGIアニメーション監督、『武装神姫』ではCGIアニメーションディレクター、『コメット・ルシファー』ではCGプロデューサーとして菊地監督と組んでいる)。指示してない動きを何かしら付け加えてくれる。そこまでやってくれる方は初めてで、驚きました。多くのCGクリエイターとは見ているポイントが違っているし、アニメのカメラワークでは想定できないことを見せてくれました。たとえば地面ごとすくいとってグルっと回すみたいな映像は、僕たちの感覚にはなかったんです。それで井野元さんって面白いなと。そもそも自分の脳内でつくったフィルムがそのままフィルムになると、実はつまらないと思ってる方なんです。だから変なものをつくって見せてくれると、ものすごく嬉しい。
――菊地監督のフィルムでは、空中撮影のような回りこみのカメラワークが多用されています。
菊地
井野元さんのカメラワークを参考にさせてもらった結果ですね。アニメ的な表現だけでなく、実写のPVみたいな表現も平気でできるようになったんだなと。もともと絵かきですから、CGでつけてくるアクションは想定内なんです。でも、アクションをカメラワーク込みでつくれるとなると未知の世界なので、すごく嬉しい。そんな感じですね。
――実写だとクレーンやドリーなど、特機を使う三次元的なカメラワークに相当するものですか。
菊地
そうですね。キャラが走っている様子をカメラを回りこませながら撮ることで感情表現もできたりするので、そのあたりに可能性を感じてます。あと井野元さんもアニメーター出身なので、3DCGと合わせて手描きのエフェクトを描き足して動かしてくれたりするので、それもすごいことですね。CGだけだと一見無理そうなものも、何とか工夫してやってくれる。そこがいいですね。
――改めて『アクエリオン』で「ここを見てほしい!」というポイントは?
菊地
やはり巨大ロボットの見せ方でしょう。カッコよく見せるために、ほとんどがハッタリのパースをつけています。モデルに忠実に見せてしまうと、ああいった画にはできない。巨大感を出すため、アクエリオンの手前に来るパーツを大きく変形させたりしています。井野元さんは特に言わなくてもそんなデフォルメを効かせてくれるし、「曲がらなければ曲げればいい」と柔軟なポーズをつくってくれる。そうした絵描きの感覚で対応してくれるCGクリエイターって、意外に少ないんです。「手足を曲げて、ズラして」とモデルで可能な範囲の動きだけだと人形遊び的な感覚になりがちですが、画としてのカッコよさありきで、あらゆる手段でそこに近づけていく。そこが大きなみどころでしょうね。
――第18話「魂のコスプレイヤー」では、偽アクエリオンに対して本物が巨大化して戦うシーンで感動しました。同じモデルなのに「なぜ巨大に見えるんだろう?」と。
菊地
あれもパーツをぺったんこに潰したり、逆に伸ばして大きく見せるなど、工夫を重ねてして大きく見せた結果です。だから、すべてが見た目優先のCGなんです。
――それ以降、『マクロスF』(08)で河森さんやサテライトとの仕事が続きます。
菊地
アクエリオン』からの流れですね。サテライトさんの撮影監督は勘がよく、「もわんと光った感じで」みたいなザックリした説明でも大丈夫なので、ありがたいです。
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