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UPDATE:2016.10.14

業界著名人がアニメ作品をオススメ!

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「天使」をモチーフにした物語
――悪魔との戦いみたいな世界観は、どう考えていかれたのでしょうか。
園田
「天使をモチーフにしよう」と最初に決めていたので、そこからの発想でした。「天使ってなんだろう?」ということを、ものすごくいっぱい考えたんです。何かいいことがあったら、天使のおかげかもしれない。たとえば落ちて怪我しそうになったとき、運良く柔らかいところだったなんて場合、「何か特別の力が働いていいことが起きた」と考えたりしますよね。もしかしたら人間の力を超えたところに、われわれを護る守護霊みたいなものがいて、助けてくれてるのかもしれない。それを「天使」と分かりやすい言葉にしてやってみようと思ったんです。そこから考えて「天使と悪魔」みたいにしました。「光と闇の戦いが繰り広げられている」というと、ありがちかもしれないですが、それでいいんじゃないかなと。
――その「破壊神」が『勇者ライディーン』によく似た巨大ロボットで、放送当時はかなりギョッとしたんですけど。
園田
ですよね。僕もこの間、サンライズフェスティバルで見てビックリしました。「あっ、敵だったんだ」と思って(笑)。
――忘れてたんですか(笑)。もちろんいつかは元祖ライディーンが出るかもなと思っていたんですが、今で言うラスボスというのに意外性があって。
園田
やはり相当自由にやらせてもらっていたということですよね。ものすごく深い潜在意識から出てきたものだと思うんです。「闇と光」と言っても、堕天使は同じ天使族だったという世界観ですよ。悪い者・良い者と明確に分かれているというより、まさに「ゴッドライディーン」という名のとおり、どちらが正しいか決めつけるものではないと。「何が罪なんだ」みたいな問いかけも含めて考えていたんでしょうね。そんなことも含めて、「チャレンジングな新しいことをしてたなあ」と思いました。本来は小学校低学年向けですから、本気でゴッドライディーンを売りたいのなら、正義の味方ロボットにしたほうが良かったのかもしれない。でも、子どもたちにも少し考えてほしいようなことを設定に織り込んでいたんですよね。
――その問題提起って、元祖ライディーンを知らないからこそできることでもあると。
園田
あんなに有名なのに、本当に知らないですからね。
――監督や他のライターさんと打ち合わせながらだったのでしょうか。
園田
あまりそこのディスカッションはしていなくて、一話ずつ一所懸命やっているうちに、自分で決めていったという感じでした。おそらく当時、サンライズの中であまり注目されていなかったんですよ。メインで売りたい作品は別にあって、現場的には上層部の目が届かないところで作っているみたいな感じ。
――同期は『機動新世紀ガンダムX』『天空のエスカフローネ』『勇者指令ダグオン』あたりですね。『ライディーン』は10月番組だから半年ズレてますが。
園田
それもあって、「これはもう絶対に売らないといけないんだ」的なすごいプレッシャーがあまりなかったんですよ。その分だけ、むしろ現場のスタッフたちには反骨心があった気がします。
――なるほど。「注目されるようにしてやるぞ」みたいな。なぜあんな風に濃くなったのか、なんとなく分かる感じです。
園田
ストーリーも、今の自分ならやらない始まり方ですからね。だってヒロインが屋上から落ちて意識不明になってしまう。「うわっ、こんな暗い1話でいいのか」って思いましたよ(笑)。自分がしたことをずっと背負って引っ張っていく主人公ってことは、やはり相当とんがったことをしたいと思って取り組んでたということなんですよ。今なら絶対に能天気な主人公にすると思います。
――スタート当時(1996年10月)、阪神淡路大震災、オウム事件直後という世紀末な世相も関係しているのでは?
園田
たしかに、そういう時代の反映もあるかもしれません。あと僕の中に「意識不明の女の子の魂、それを起こす話をやりたいな」と思っていたんです。ひとことで言うと「眠り姫を起こす話」です。だから寝て始まり、最後は起きて終わり。
――まさにスリーピングビューティーですね。大枠はそうだとして、2クール少し過ぎたところで第1部完みたいになっていますが、延長になったのか、それとも最初から前半後半に分かれていたのでしょうか。
園田
それは忘れてしまいましたね。普通に考えれば1年間やりたかったはずですよね。おそらく最初のクリスマスに何か出したいという希望があって、まず小さいフィギュアを出したんです。
――なるほど。それで年度末の3月ぐらいにゴッドライディーンを出すと。
園田
話していてフカンで思い出してきましたが、男の子向けホビーが相当変わりつつあった時期だったと思います。巨大ロボットアニメが衰退して、ロボットホビーが戦隊もの以外ほとんど売れなくなっていた時期だったと思うんです。だから等身大ヒーローをプラスしてフィギュアを売りたいという、マーケットの流れが影響してると思います。
――なるほど。ガンダムシリーズも『』でいったんお休みですし、『ダグオン』の次が『勇者王ガオガイガー』で勇者シリーズもラスト直前でしたね……。
コメディとシリアスのバランス重視の構成
――せっかくの見放題なので、みどころなどもお聞かせください。
園田
4話選ぶとき、ファンの人たちから「これが見たい」「これをやってくれ」みたいなリクエストがずいぶん来ました。面白い話が割といっぱいあるんですよ。特に前半はコメディタッチの話とシリアスの融合みたいなことを試みていて、笑える回も多いです。売れないアイドルグループが売れようとしてがんばるコメディタッチを、ぜひ楽しんでほしいですよね。シリアス編は主人公が本当にボロボロになったり、心が崩壊したりというところまで行ってしまいますから。
――そのバランスは、シリーズ中でどう工夫されましたか。
園田
各話で芸能エピソードをどう入れていくかを考えつつ、コメディ、コメディみたいに同じ傾向のお話が続かないよう配置しているはずです。あとはキャラクターの関係性ですね。実は登場人物が多い分、関係を描くのに話数をかけています。1年間やれたらもっと描けましたね。特にザ・ハーツのほうをもっとやりたかった。ペンギンの着ぐるみかぶってがんばる話(第20話「魔城からの脱出!」)も笑えますし、こないだ上映した酔っぱらいの超魔を倒す話(第15話)も本当に面白かったです(笑)。作画の質もすごく高いし、声優さんもノリノリだし、見てない方はこの機会にぜひ配信で見てほしいです。
――あらためてご覧になる方にメッセージがありますか?
園田
1話1話バラエティに富んでいて、なおかつ作画もふくめてものすごいエネルギーをかけて作っている作品ですから、「こんな作品があったんだ」ということをもっと多くの人に知ってほしいという想いが、すごくあります。もちろん当時からのファンの方たちも、もう1回見直していただければ、感じ方が変わって発見があるんじゃないかと思います。僕が思う天使像、天使のテーマを思う存分放りこんだ作品です。宗教的な天使ではなく、人にいいことをするとか、何か自分がいいことをされるとか、日常にあるいいことが天使なんです。自分の想いだけでなく、何か力みたいなものの存在を信じてみよう、というところから生まれたストーリーです。そこを信じられれば、日常もポジティブになれるのではないかと。誰かのためにいいことをしてみようとか、あなた自身も天使のひとりなんだよ、みたいなことになるといいなと、そんな想いをこめて作った作品です。
――園田さん的にも手応えがあったようですね。
園田
そうですね。いま見ると、僕がやりたかったことがいっぱい入っていて、かなり僕の作家性の部分を全体に入れ込んだ作品だったんだなと思いました。
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