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UPDATE:2016.6.23

業界著名人がアニメ作品をオススメ!

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三つ巴の関係を古代進中心で描く
――羽原監督とは『宇宙戦艦ヤマト2199 Blu-ray BOX』の宣伝用映像でごいっしょさせていただきました。今回は最新作の『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち』に絞ってお聞きしたいと思います。これは非常に特別な作品で、もともと映画の『さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち』(78)と、それをTVシリーズ化した『宇宙戦艦ヤマト2』(78)と、ストーリーがマルチに分かれた作品を新作にするのは、大変な難産だったと思います。それを第二章まで作った手ごたえから、まずうかがえますか。
羽原
そうですね。やはり手ごたえというよりプレッシャーがすごくて、思っていた以上に大変な作品だと身に染みたところがあります。前に『2199』で演出を担当したときは出渕(裕)総監督の下で大きな船に乗せてもらっている感じでしたが、今度は自分で船を動かさないといけない。観客のみなさんとスタッフの中には、それぞれ自分のヤマト像がありますから、少しでも多くの方に喜んでもらえる方向はどこなのか、手探りで進んでいる状況です。
――物語も古代進が艦長代理になるということで、なんだか羽原監督の境遇とシンクロしている感じを受けました(笑)。
羽原
そうなんですよ! 福井さんのシナリオには、古代が迷って迷って悩んで悩んでと、そんな葛藤が多く描かれているので、実によくわかるなと。次の第三章でも古代がものすごく悩みますが、まさに自分の気持ちを見透かされてホン(脚本)を書かれていたんじゃないかと、そう思えるぐらいの状況になっています。
――古代中心の語り口は大事なポイントで、それは『2199』と『2202』の違いにもつながってくるのかなと思って拝見しています。
羽原
ええ、やはり「古代進というキャラクターをどう描くか」というところが重要なんですね。『2199』のように群像劇として多彩な人をそれぞれきちんと描くという形で『2202』をやってしまうと、散漫にも見えかねないですから。ただでさえ「地球」「ガミラス」「ガトランティス」と三つ巴の関係になっていて、そこに新キャラクターも出てきますから、やはり古代を軸にして見せていくという形になるんです。そうしたバランスをどう取っていくのか……これがけっこう難しいところです。
――話が前後しますが、今回監督になられた経緯はどうだったのでしょうか。
羽原
最初は「脚本にどなたかいませんか」という話を聞かれまして、その時点では福井さんの参加を知らなかったので、岡秀樹さんという実写の監督(おかひでき名義)の方を推薦しました。別件でごいっしょしたとき「ヤマト大好き」という点で意気投合し、僕がディレクターズカットの監督を担当した『宇宙戦艦ヤマト 復活篇』(12)も何度も観てくださってて何かと詳しいんです。その流れで僕に「監督もどう?」みたいな話になり、出渕さんが継続されなくて会社として引き受けるということなら、ぜひやらせてもらおうかなと(羽原監督はXEBECの取締役も担当)。
――そういう順番だったんですね。
羽原
ええ。僕がふさわしいかはともかく、ここで断って他の人がやったら絶対に後悔が残るだろうと。どうせ辛いなら、やるだけのことをやっていきたいなと思ってお引き受けしまして、いまに至るという感じです。
――羽原さんは『復活篇』から『2199』を経てきたアニメスタッフですが、それ以前、ファン時代のヤマト体験も大きく関わっているのでは?
羽原
もちろん「どれだけ好きか問われる」という部分は、やはり大きいです。自分の中で『ヤマト』は、かなり大きな存在ですから。
――その『ヤマト』と最初に出逢ったのは、何歳のときですか?
羽原
10歳で、TVシリーズのときです。『さらば宇宙戦艦ヤマト(愛の戦士たち)』は中学校三年生のときになります。
――人生を左右する大変な時期ですね。
羽原
はい、もうホントに多感な時期で(笑)。それで僕としては、もう少し上の世代の方々に『さらば』のラストを「特攻」と言われる感覚の方がいることを、大人になってから知ったんです。それぐらい僕は「最高の作品」と信じていました。最後のシーンも僕は特攻とは感じてなくて、古代の言うとおり新しい旅立ち、気持ちの上でいっしょにいる結婚式だと、ものすごく共感していました。僕自身は広島県出身ですから、毎年8月6日(広島原爆忌)は夏休みの登校日で平和についての授業があり、「戦争は悲惨なものだ、二度と起こしてはいけない」と、小さいころから言われて育ってきました。「特攻」も当然どういうことかわかっています。でも僕は『さらば』と特攻を、どうしても結びつけられなかったんですね。改めて考えれば、もう少し上の世代の方たちはそれなりの体験を経てそういう反応をしたわけだから、後になって「なるほど」とわかった感じです。
――いまのお話でふと思ったのですが、純愛みたいな要素でストレートに感動するのって、去年から今年にかけての『君の名は。』に似ていますよね。
羽原
まさにそうなんですよ。僕が『さらば』に関連したリメイクをやるのであれば、その方向で行けばいいのかなとは思っていまして。今回ラストをどうするか、いまは言えないですけれど……。
――そこは最大級のネタバレになりますね(笑)。
羽原
なので、「愛を描いていく」という部分については、ぜひ今後を楽しみにしていただければと。
キャラの表情に寄せるカメラワーク
――ラストふくめてどうするか、そこは今回ひとつ大きな特徴ですし、興味深いところです。単に『2199』の続きをやるというだけではなく、タイトルに「2」の数字が並んでいるから『宇宙戦艦ヤマト2』なのか、それとも『さらば』なのかと……。その辺、どの段階でどんな話があったのでしょうか。
羽原
福井さんの出した企画書ですでに『2202』にというタイトルが書いてあって、「0」は「Φ(ファイ)」の文字になっていたんです。「どちらでもない」という意味だそうで、『ヤマト2』にも見えるし『愛の戦士たち』とも書いてある。どちらでもあり、どちらでもない。それがメインタイトルの意味なんですね。であれば、そこに新しい要素をいっぱい入れていけると、最初からそう考えていきました。
――その企画書をもとに、羽原さんも入って議論を深められたのでしょうか。
羽原
シナリオ会議では、まず福井さんが大まかな全体の流れをつくります。次にそれを話数単位で分割し、岡さんが1話ずつ「ゼロ稿」というシナリオにする。それをベースにみんなで話し合い、福井さんが最終的にまたシナリオにまとめるという進め方です。必ず1話を2人で書くことになるので、脚本も連名になっています。
――コラボレーション的にいろんな要素を詰めこんでいるわけですね。
羽原
その段階で副監督の小林(誠)さんから「こういうアイデアもあります」と絵がバーンと出てきて「ギャー!」みたいなことも起きます(笑)。「だったら、これも入れましょう」みたいな感じで、シナリオにどんどん新しい要素が組み込まれていく。僕自身はどちらかというと「こうしてください」というより、「これを活かすにはこうしましょう」と、みなさんからいただいた意見にバランスをとりつつ整合性をつけていく調整役になっています。
――監督として心がけられたのは、画面づくりですか?
羽原
シナリオでOKにする部分とNGにする部分の判断基準としては、絵が浮かぶかどうかというのがひとつあります。それと分量です。福井さんのシナリオはものすごい密度感でギュッと詰まっていて、それを全部入れることもできますが、そうすると独特の「ヤマト間(ま)」がなくなってしまうんですね。音楽が入ってきてじっくり盛り上げていくとか、そういう部分を演出裁量によってカットしなければ入らない。「音楽ブツ切りはイヤだな」というのもありますし、船の動きが速くなりすぎるのも避けたいんです。それで地球側、とにかく古代メインという方針でバサバサと切って整理させてもらっています。
――その新要素で観客サイドも驚いている部分が多いと思いますが、羽原さんが驚いたアイデアは何かありますか。
羽原
小林さんの出してくる絵には、いつもビックリします(笑)。ガトランティスの王座の間も、僕はどうしても赤い絨毯の先にズォーダー大帝がいる平面的なイメージなんですけど、上下方向に展開している設定をもらい、すごいなと思いました。アイデアという点では「時間断層」の発想にも驚きましたね。何かしら特異点を作りたいという話で「時間断層」と言う単語が岡さんから出て、それを「コスモクリーナーの負の遺産」みたいな感じにしたらどうかと。当時も「地球艦隊の復興が早すぎる」とツッコミがありましたし、それを逆手にとったり、過去のいろんな設定を駆使したりするので、みんなすごいんです。僕から出したアイデアはほとんどなく、「ここで驚かせるにはどうしたらいいかな」と、演出面を考えながら進めています。
――羽原監督は『復活篇』『2199』『2202』と近年の3つのヤマト全部に参加されていますが、『2202』ならではの特徴はどういう部分にあるのでしょうか?
羽原
画面的な違いが大きいと思います。『復活篇』も『2199』も映画っぽいカメラアングルにしていました。特に『2199』はロングショットで群衆と全景をとらえていく感じでしたが、『2202』はカメラがキャラクター近くに寄って、若干広角気味にとらえるのを意識しています。そうすることで、表情の微妙な変化や叫んだときの迫力を出したいなと。映画の大画面でアップの多用はあまり良くないと分かっていますが、あえて意識的に入れています。僕は東映アニメで育ってきてるので、余計そうなるのかもしれません。
――3本通じた「ヤマトらしさ」は、何か感じられましたか?
羽原
先ほども触れましたが、僕はやはり「間」だと思っています。他の作品とは明らかに違う「間」がある。音楽の使い方もそうですが、腰を据えて見せる画が多く、まずじっくりと見せる。次にそれをカメラが追う。そして次第に盛りあがっていく。僕のヤマトの印象はそんな感じです。僕はもともとカットを刻んでしまうタイプの演出をするので、ここはちょっとガマンしてじっくり見せようと、そこに気をつけていますね。
――画づくり的には、すごく大変になる方向性ですよね。
羽原
ホントに手描きだったら、絶対に無理です。CGだから長回しもできるし、アングルもジワッと変えられる。CGにものすごく助けられています。
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