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特撮のミカタ

UPDATE:2013.10.1

「特撮」ちょっとだけうんちく!

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特撮初心者も安心!特撮をさらに楽しく観るためのちょっとイイ話 特撮のミカタ

第1回 特撮とは?

質問した“さっちゃん”は絶対に聴いてくれないウンチク 特撮とは

 映画の発明とともに生まれた「ストップモーション」「コマ落とし」などの、単純なトリック撮影技術。これが初歩の「特殊撮影」である。
通常では撮影できない光景、架空の風景を、映像上で実現する最も映画的な手法こそが「特撮」なのだ。
 日本特撮の開祖といえば、特撮技術者・円谷英二監督だ。円谷監督は、カメラマン出身だった技術とアイディアを活かし、巨大なセットを使った大掛かりなミニチュアワークや画面合成を独自に研究。その才能が開花した戦中の戦争映画は、戦後、GHQが実写映像だと間違えたほどの出来栄えだった。制作会社の東宝は、この後、特撮技術の発展に力を入れ、50年代には特撮をセールスポイントとする怪獣映画で大ヒットを記録。この影響で各映画会社も特撮部門を設立し、円谷門下の技術者も各社に散って特撮界の地盤を固めるのだった。
 その後、新たなメディア、TVが登場すると、円谷監督は自らの製作会社・円谷プロを率いて作品制作に乗り出す。それが、それまでのTVドラマには無い、映画並みの本格的特撮技術を注ぎ込んだ『ウルトラQ』『ウルトラマン』(66)だ。60年代中盤、特撮TVドラマは、空前の怪獣・変身ブームを巻き起こし、各社は、現在にまで人気が続く、さまざまな名作、キャラクターを生み出していく。
その後、2000年代になり、時間や予算を簡略化できるCGなどのデジタル技術が発展。特撮クリエイターたちの想像力を再現する大きな力となったが、同時に、手間やセンス、技術の継承が必要とされる、日本伝統の職人芸「特撮」は、次第に失われつつ状況にあるのだ。

【テキスト:幕田けいた(大衆文化研究家)】