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富野由悠季が手がけた最初のアニメ作品は、日本初の30分TVシリーズ『鉄腕アトム』(63)だ。日本大学芸術学部を卒業後、手塚治虫の会社、虫プロダクションに入社した富野は『アトム』の各話演出で頭角を現す。原作にないオリジナル脚本作品も多数手がけ、シリーズ後半を支えた演出家となったのだ。『リボンの騎士』(67)など手がけた後はフリーの演出家として各社の作品に参加。『科学忍者隊ガッチャマン』(72)や『アルプスの少女ハイジ』(74)など、誰もが知っている名作の数々に絵コンテ、演出で多数参加している、すごいアニメ作家なのだ。 |
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富野由悠季が総監督として手がけたロボットアニメ『勇者ライディーン』(75)は、現在のサンライズの前身となった創映社の作品。 それまでのロボットものが漫画家の原作をベースにしたのに対して番組企画を玩具会社と共同開発し、後のビジネスモデルとなる最初の作品となった。 その上、世界観はファンタジームードあふれる異色作でもあった(後半の総監督は長浜忠夫)。このときタッグを組んだ安彦良和のキャラクターデザインと作画は実に魅力的で、『ガンダム』における名コンビはここで誕生しているのだ。 |
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富野監督が手がけた『無敵超人ザンボット3』(77)も安彦良和がキャラクターデザインを担当。日本サンライズが創業して最初のオリジナル自社作品で、富野監督は原作でもクレジットされている(鈴木良武と共同)。 ここで富野監督は勧善懲悪だったロボットアニメの図式をリアルに見つめ直し、「巨大ロボ同士がぶつかれば戦争になり、被害者が出る」という現実味あふれる視線を導入した。青年層が観ても楽しめる深いドラマは、まさに「ガンダムの原点」。 また、本作は名古屋テレビ(現:メ~テレ)をキー局に放送され、初の地方局から発進したロボットアニメとなった。本作と続く軽快なヒーローアクションもの『無敵鋼人ダイターン3』(78)の成功が、次に『ガンダム』を生むことになる。 |
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現在でも人気の『機動戦士ガンダム』(79)は、富野由悠季の型にはまらない開拓精神から生まれた傑作である。本作ではついに巨大ロボットと敵メカが「ヒーローと怪獣」の図式から離れ、共に「同じ人間が作った兵器」として、宇宙植民地をめぐる戦争状況というリアルな世界観をつくりあげた。安彦良和の優しい絵柄と青年期を描いた大河ドラマとの調和は青年層中心に受け入れられ、大人気に。 続く劇場映画化も、それまでの無理やり1本にまとめるスタイルを富野監督が拒否し、初の「三部作」に再構成して公開。折からのガンダムプラモデル人気との相乗効果で希代のヒット作に成長していった。 |
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『ガンダム』以後、ただでさえ多忙なはずの富野由悠季だったが、毎年のように新作の総監督を連続して担当していった。銀河系規模の星間戦争と謎のエネルギー"イデ"を描いた『伝説巨神イデオン』(80)とその映画版『THE IDEON 接触篇』(82)『THE IDEON 発動篇』(82)、西部劇を思わせる砂漠世界にウォーカーマシンが走り抜ける『戦闘メカ ザブングル』(82)、ファンタジー世界にオーラバトラーが剣を交える『聖戦士ダンバイン』(83)、ペンタゴナワールドでヘビーメタルが活躍する『重戦機エルガイム』(84)などが、この時期の作品群である。どの作品も必ず大きな「世界」が描かれ、ロボットも「モビルスーツ」のような造語で世界の中に位置づけられる手法が繰り返し用いられた。この方法論はアニメ界全体に「リアルロボット路線」を生み出し、他の監督によるオリジナル作品を多数生み出す触媒にもなった。 |
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少しTVアニメにブランクを置いた後、富野由悠季は新たなスタイルで再起動する。『ブレンパワード』(98)はWOWOWで放映され、これも「初のスクランブル有料放送」という挑戦的な舞台で発表された。 近未来の地球を舞台に深海からオルファンという巨大生物が浮上し、アンチボディなる人型金属生命体にパイロットが乗りこむという異色の設定は、開始当初は悲劇的結末を予感させたが、調和のとれた穏やかなラストが提示された。 新しい富野アニメはひと味違うという感慨は、次の『∀(ターンエー)ガンダム』(99)で決定的になる。 これは過去すべてのガンダム作品を歴史化して取りこむという、遠い未来世界の物語。そこでは産業革命時(19世紀末)を連想させる牧歌的な風土に、名作アニメを連想させる上品な登場人物が人の信頼を取り戻すという、穏やかなドラマが展開された。シド・ミードがデザインしたヒゲをはやしたような∀ガンダムも話題に。本作も2本の映画『∀ガンダム・地球光』(02)『∀ガンダム・月光蝶』(02)としてまとめられているが、これも史上初の「サイマルロードショー」(曜日によって前編と後編をかけかえる)という試みがとられている。 |
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時代は21世紀となり、富野由悠季は『∀ガンダム』映画化と平行してさらにオリジナル新作を打ちだす。サンライズ初のデジタル制作によるハイビジョン作品『オーバーマン キングゲイナー』(02)である。 人類がドームポリスで暮らすようになった遠未来、圧政・管理を嫌ったシベリアの民衆は"エクソダス(脱出)"を企てた。オーバーマンは骨格に着ぐるみをかぶせたような独特の構造のものだが、その対決は「ヒーロー対怪獣」や「忍術合戦」のような伝統を連想させるユニークなもの。キャラクターはいずれも活きいきとして元気よく、笑いも涙も見せ、誰もが楽しめる王道作品として仕上がった。劇場版『Zガンダム』のもつ一種の"はずんだ感触"も、キングゲイナーで得られた成果の延長にあると言える。 |
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このように"初挑戦"を重ねてきた富野由悠季監督の最新作『リーンの翼』が「ブロードバンド先行配信・アニメーション」という位置づけを得たのは、決して偶然ではない。 このような40年にもわたる大きな時間の流れの最先端として、歴史に新たな1ページを開く娯楽作として登場する。 |
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