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このように「越境」というキーワードを補助線において観察を深めることで、作品の目ざすところも、かなり明らかになっていく。ふたたび登場キャラクターと物語に戻ることで、ドラマを構成する数々の相克の正体を探っていこう。
第1話で登場した金髪の主人公エイサップ・鈴木。洋服を来た彼がめぐり逢うのは、黒髪をいただき和装をたしなむ少女リュクスである。典型的なボーイ・ミーツ・ガールとも言えるが……よく考えてほしい。明らかな違和感がある。本来は日本にいる人間の方が和装で黒髪と描かれるのではないのか? この倒置は、いったいなぜ起きたのだろうか。
それは出逢った2人の出自が、そもそも「越境者」であったからに他ならない。 そう考えると、オーラシップの出現した場所の必然性も浮かびあがってくる。米軍基地のある岩国――そこは日本であって日本ではない場所だ。これもまた、地上界に歴然と存在する一種の異界からの越境なのである。オーラロードが「人の意志」の反映であるならば、そのような場所を選んで2つの世界をつないだ可能性も大ではないのか。
そして、エイサップもリュクスも、ともに隔たりのある2つの世界が結ばれて誕生した子どもで、やはり「越境者」である。だが、その生は喜びと慈しみを充分に受けたものとは言い難かったのかもしれない。エイサップの方は歴然と父母に対する反感を隠そうとしていないし、リュクスは父の野望を阻止せんとしてこのオーラロードを開いてしまった。その背後には、亡き母への思慕も秘められているようであり、彼らの出自の越境性が何らか影を落としている部分も少なくないのだろう。
だから、彼ら越境者2人が扇に対する「要」のように幾多もの関係性をつなぎとめる急所に位置すると見て、間違いない。それを念頭におきながら、2人の言動と周囲との関係性、その遍歴を全話を通じて見守ることで、さらに多くの発見ができるだろう。 |
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| 「リーンの翼」第1話より |
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| 「リーンの翼」第1話より |
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