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大友克洋が他の漫画家の原作を実写化するという点と、オダギリ・ジョー、蒼井優という配役の妙が大きな話題を呼んだ作品。人の目に見えない生命の根元「蟲」に関するドラマを、深い緑に包まれた風景の中で描く。みどころは、VFXを駆使して描かれる「蟲」の神秘なる映像。科学文明にまだ汚されきっていない時代の「死生観」とバックボーンとなった大自然にまず圧倒される。生命をつむぐ蟲の存在意義を知る蟲師は、「死と生は対立するものではなく、ひとつのもの」というメッセージをビジュアルで伝えてくる。蒼井優演じるヒロイン淡幽の凛としたふるまいなど、存在感あふれる登場人物は映画が終わっても脳裏に焼きつく。アニメ版とは違った角度で原作の魅力を描きぬいた映画だ。
【アニメ評論家・氷川竜介】 | |
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蒸気機関が急発達、発明ブームが起きた19世紀半ばのロンドンでは、国家の威信をかけて万国博覧会が開催されようとしていた。その機に乗じて兵器セールスをしようとするオハラ財団。活劇の中心になるスチーム城を動かす鍵は、世紀の発明「スチームボール」だ。主人公のレイ少年は、父と祖父の科学をめぐる確執に巻きこまれながらも、自分だけの未来を切りひらこうと苦難を乗り切っていく。登場する機械類は、すべて蒸気機関で動作。激しく動くピストンやクランクなど、メカ描写には最先端のデジタル技術がふんだんに使われている。巨大なスチーム城の内外は、まさに圧巻のスケールによるメカ描写。背景美術とデジタルの融合で描かれたスペクタクル映像は超感動的!
【アニメ評論家・氷川竜介】 | |
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まったくテイストの異なるアニメ3本を集めたオムニバス映画。大友克洋は全作の原作・キャラ原案・製作総指揮・総監督を担当。特に、大友克洋が脚本・美術・監督を兼務した本作「Episode.3 大砲の街」は必見だ。すべての生活習慣と価値観が「大砲を撃つ」ことを中心にする異世界「移動砲台都市」。その1日の生活を点描した作品だが、最初から最後までカットを割ることなくシームレスに映像がつながっていく。美術やメカは汚れや金属感を強調した巨大なものばかりで、その油っぽい質感がすばらしい。アナログアニメでこうした世界観をつくりあげ、デジタルでの表現拡大が次の『スチームボーイ』への挑戦に結びついた。蒸気世界の原点を確認してみよう。
【アニメ評論家・氷川竜介】 | |
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大友克洋の面白さの本質は、日常風景の隙間に潜む「なーんちゃって」風なズレの感覚、そこからにじみ出る笑いにある。いわゆる「諧謔(かいぎゃく)」というやつだ。この映画では、大友監督の視線で日本の実景を切り取った映像を積み重ね、独特の怖さと笑いが同時に醸し出されていく。不法滞在の外国人労働者、地上げ屋のヤクザと、微妙に一般社会からはみ出た者同士が、さらなるズレやディスコミュニケーションを招き、やがて大爆発に到る、そのプロセスが最大のみどころ。原案の今 敏は本作をマンガ化もしているが、後の今 敏監督映画『東京ゴッドファーザーズ』にも通じるものがあり、その持ち味もたっぷり入っている。そんな作品の流れを知る上でも、必見の映画だ。
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ブラックユーモア漂う「老人医療機器の暴走」という大友克洋のコメディ風原作(書き下ろし)に、江口寿史のキャッチィでポップなキャラクターが合体。後に『BLOOD THE LAST VAMPIRE』を撮る北久保弘之が、監督として手堅い演出でまとめた佳作である。他に『東京ゴッドファーザーズ』の今 敏や『人狼 JIN-ROH』の沖浦啓之など、後にアニメ史上で重要な長編を監督することになる才能が結集し、ある種の梁山泊的な現場でつくられた作品でもある。1991年公開だが、老人介護問題がより深刻となった現在、強い先見性を感じざるを得ない。見どころは、サイバー的に自己増殖する介護機械、第6世代コンピュータ「Z001号機」の描写。笑いがほろりとした人情に収斂していく作劇もうまい。
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壮絶な描き込みとリズミカルなコマ運びで、世界的にも高名なマンガ『AKIRA』。その作者自らによるアニメ化である。時代設定は未来、超能力者や巨大メカの戦闘というSFの王道を行く中に、東京オリンピックや安保闘争など日本の近代の方向性を左右した昭和の事件が多数投影されている。いつの時代も若者の持つエネルギーは、出口を求めて煮えたぎっている。そんな力を持てあました鉄雄の無軌道な暴走を、親友だった金田が止めに行く構造は、まさに青春映画。本作はそんな多面的な楽しみ方のできる濃密な映画だ。不良グループの超伝導バイクによる乱闘騒ぎから人とパイプや電線が溶け合うサイバー世界まで、めくるめく華麗な映像がぎっしり詰まった2時間を楽しんで欲しい。
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オリジナルビデオアニメが隆盛となった1980年代中盤、作家性を前面に押し出して製作されたオムニバス作品。本作で大友克洋はオープニング、エンディングを担当し、短い時間の中に大友アニメのエッセンスをギッシリ詰めこんでいる。英文字のタイトルロゴの正体は、ディテールが濃密に描き込まれた建造物とメカ。それが走って来ると構造が判別できるようになり、オモチャ箱的で遊園地的なメカが細やかな段取りを踏んで崩壊していく。その映像は、まさに『スチームボーイ』に先行した縮図と言っても良いだろう。それぞれ「ロボット」を題材に独特の世界観と作家性が結集する中で、大友克洋はちょっと肩の力を抜いた遊び心あふれる短編をつくりあげたのである。
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1967年のコミック(原作:平井和正、石ノ森章太郎)をもとに、角川アニメ第1作として映画化された。りんたろう監督は世界観をリアルに再構築、漫画家としてカリスマとなり始めた大友克洋をキャラクターデザインに起用して世間をあっと言わせた。宇宙を虚無の世界に変えようとする幻魔の攻撃。いまや滅亡に瀕した地球を守るのは、覚醒した各国の超能力戦士たちだった。現実の吉祥寺などリアルな風景の中で克明に描かれる人類絶滅。リアルな骨格と容貌をもつ大友キャラはそこに良くマッチしてドラマを盛りあげた。ベガなど異星のデザインも画期的で、群衆など大友克洋自身が原画を描いたシーンもある。後の大友克洋アニメ誕生のきっかけをつくった作品だ。
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