ここがみどころ
世界中で数々の映画賞を受賞した細田守監督の代表作。何度も映像化された筒井康隆原作のSF小説を初めてアニメ化。貞本義行のキャラクターデザインを得て、活発で前向きで現代的な青春ストーリーとして再構築された。時間を超えるタイムリープ能力を急に獲得してしまった主人公の紺野真琴。過去をやり直せる超能力を日常のささいな欲望に無駄づかいする爆笑の前半と、恋愛を含めた気持ちまで消していいのか疑問をもつシリアスな後半の対比が最大のみどころ。山本二三による精緻な美術、動きで勝負する作画とアニメとしての魅力も満載だ。誰もが通りすぎる思春期ならではの複雑な感情を見事に焼きつけた古典として、末永く愛される作品であろう【アニメ評論家 氷川竜介】