- 森田
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実は『FREEDOM』の後は変に気負ってしまったようで、またなかなか企画が通らない時期にありました。『ボトムズファインダー』はCGI監修として初期のみ関わった作品です。監督の重田敦司さんはCGの扱いに悩んでおられましたが、「ウチは作画ベース、デザインベースの考え方ですから、難しく考えなくていいです」という話をしました。CGI監督は金本真で、非常にいいアニメーションに仕上がりましたね。
――次の『
コイ☆セント』(11)は、どんな着想からつくられたのでしょうか?
- 森田
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出発点は80年代あたりの「ボーイ・ミーツ・ガール」で、ラブコメをやりたかったんです。自分の出身である奈良県が平城遷都1300年祭をしていたのと、卑弥呼は奈良か北九州かと論争があったことなど、身近な要素をからめていこうと。鹿が300匹ほど出てきますが、こんなに鹿の登場する作品は他にないと思います(笑)。
――歴史に絡んだ世界観となると、土台となる美術も重要ですよね。
- 森田
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美術監督の谷口淳一さんは非常に実力のある方で、大友克洋監督作品にも関わられているので、『コイ☆セント』でお願いできたときは嬉しかったです。「こんなにカラッとしたボーイ・ミーツ・ガールものは久々だ」と楽しんでいただけたのも、良かったです。最近では美術監督が設定を担当することも減りましたが、『コイ☆セント』では大仏などは末武康光さんですが、ほとんどの設定が谷口さんです。この作品もみんなの提案が多く、そこからまたいろんなアイデアが膨らんでチームとしてうまくやれた作品ですね。
――キャラが総出で踊るエンディングは、フィナーレの感じがよく出ています。
- 森田
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寿美菜子さんの「Startline」も楽しげな歌でいいですよね。もともと「最後はみんなでインド映画のように踊りたいな」と思っていたんですが、予算上、難しいと諦めていました。ところが納品後、リテイクとV編(ビデオ編集)まで3日くらい余裕ができたので、みんなを集めて「よっしゃ、やるぞ!」と一気につくりあげたものです。谷口さんもお忙しいのにノリノリで面白がってくれて、本当に感謝しています。
――はっちゃけた作風には、森田さんの性格がいい感じで出ていますね。
- 森田
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やはりああいうのが大好きですから、心から楽しんでつくることができました。