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特撮のミカタ

UPDATE:2013.11.1

「特撮」ちょっとだけうんちく!

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特撮初心者も安心!特撮をさらに楽しく観るためのちょっとイイ話 特撮のミカタ

第2回 怪獣って何?

引き続き“さっちゃん”は絶対に聴いてくれないウンチク 怪獣とは

 どんな生き物にも分類できない姿は、ビルよりも大きく、口や目からは火炎や怪光線を発射。地上だけでなく地中や海中を這い回り、長大な羽で空も飛び回る! それが日本独自の文化で育まれたキャラクター「怪獣」である。
「怪獣」が初めてブームとなったのは、50年代の怪獣映画から。それ以前の前近代にも、キテレツな合成動物的な妖怪や、古い器物が命を持ったお化けが親しまれていた文化背景もあって、有機物と無機物が融合した究極のデフォルメ体「怪獣」は、日本人の感性にマッチし、瞬く間に人気者になった。
 日本の映像作品に登場した「怪獣」の大部分は、樹脂製の着ぐるみで製作されている。そして、その中に人が入ることで血が通い、人格、いや怪獣格が生まれるのだ。この個性が「怪獣」の一番大きな特徴だろう。
着ぐるみとミニチュアセットで撮影された怪獣特撮は、まさに日本のお家芸で、その初期においては世界の映画界が驚く完成度。「怪獣」はキッチュでキュートなキャラクターとして、日本映画のアイコン的存在となっていた。

例えば大映のガメラシリーズは、アメリカのケーブル局でのリピート率が高い映画として知られ、ある世代以上のアメリカ人には、懐かしのキャラとなっている。劇場用映画『パシフィック・リム』で使われた巨大生物「KAIJU」は、長年、アメリカで浸透した「怪獣」イメージのハリウッド流解釈であろう。作品の最後に『モンスターマスター、レイ・ハリーハウゼンと本多猪四郎に捧ぐ』と献辞が表示されたのが泣かせる。
 そんな日本で育まれた怪獣文化は、『ウルトラマン』を始めとする60、70年代の特撮TV番組で爛熟期を迎える。中には特撮を使わず、怪獣着ぐるみ同士が戦うアクション番組や舞台中継番組も放映され、人気を博したほど。豊かな想像力の産物「怪獣」は、子供たちの畏怖の対象であり、アイドルでもあったのだ。
 それから40年以上。デジタル技術が円熟した現在でも、「怪獣」は価値を失うことなく、怖さだけでなく、血が通った温かみを世界中に振りまいているのである。

【テキスト:幕田けいた(大衆文化研究家)】

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