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永遠の巨大変身ヒーロー「ウルトラマン」の魅力に迫る

UPDATE:2013.11.29

永遠の巨大変身ヒーロー「ウルトラマン」の魅力に迫る

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巨大変身ヒーローの代名詞とも言えるウルトラマンシリーズ。今なお脈々と続く、その原点、ずばり『ウルトラマン』。特撮による巨大ヒーローと怪獣の戦いは、子供たちの胸をときめかせ、“怪獣ブーム”をも引き起こした。そんな『ウルトラマン』の魅力に迫る!

宇宙怪獣ベムラーを追って地球を訪れ、怪獣や宇宙人から地球を守って戦った。 スペシウム光線を始めとした数多くの必殺技を持つ。M78星雲・光の国が故郷。強さだけでなく、罪無き怪獣をいたわるやさしさも持ち合わせている。地球での姿は科学特捜隊のハヤタ隊員。『ウルトラ兄弟』の一員でもある。

66年の前作『ウルトラQ』から始まった本格的特撮TVドラマは、『ウルトラマン』で、それまでに無かった新機軸「巨大ヒーロー対怪獣」を打ち出した。変身する巨大宇宙人VS怪獣(宇宙人)という、現在では定番となっている構図は、本作が生み出したものである。そして、東宝の特撮スタッフが数多く参画した『ウルトラマン』は、映画並みのクオリティのバトルシーンを、毎週、お茶の間に提供し、瞬く間に人気番組になっていったのである。

巨大なウルトラマン対怪獣の戦いは、子供たちの心を掴んで、人気番組に! そして、怪獣ブームとして、世間に認知されていく。

『ウルトラマン』のポイントは、『ウルトラQ』からの流れで多くの映画人が製作に参加したのに加え、TV制作で育っていたスタッフが実力を発揮し始めたことにある。造形の高山良策、美術監督の成田亨の、異能ともいえる才能は本作で開花したといえる。また『ウルトラQ』で導入されたオックスベリー社の光学合成機の性能も、カラー作品の本作で、十二分に引き出されることになった。従来の映画技術導入だけではなく、独自のTV特撮を確立し、まとめあげていったのが、監修者である特撮監督・円谷英二の厳しい目であったことは言うまでもないだろう。

円谷プロの創業者であり、特撮の神様こと円谷英二氏(右)。カメラワーク、ミニチュアワーク、合成ワークによる特撮を作り上げた。
ウルトラマンの光線などは、光学合成機によって可能となった。

71年に復活した『帰ってきたウルトラマン』に、ウルトラマン、ウルトラセブンがゲスト出演したことで、やがて「ウルトラ兄弟」の設定が誕生。平成以降も独自のシリーズ展開を見せており、さらにそれもパラレルワールド的設定として組み込むことで、ウルトラ世界は「サーガ」とも呼べる巨大な物語に発展していった。現在、展開されている『ウルトラマンギンガ』も、「サーガ」の一翼を担っている人気作品である。『ウルトラマン』は、こうしたウルトラ世界の起点となった、重要な金字塔的作品なのだ。

『ウルトラマン』全39話中、制作順としては第1作目、つまり初撮影となるエピソードである。「バルタン星人」の初登場回で、これ以降、バルタン星人は永遠のライバルになっていくのである。バルタン星人の、『Q』登場のセミ人間を改造した着ぐるみとは思えないほどの秀逸なデザイン、造形もさることながら、光学合成シーンのアイディア、美しさは必見。本編の飯島敏宏監督の演出作品は、合成シーンが上手いことでも有名なのだ。
「怪獣殿下」は、第26、27話の、ウルトラ初の前後編として放映されたエピソードだ。怪獣映画の古典を意識した本作は、まさに怪獣物の原点に立ち返る一大スペクタクル。長大な尻尾を持つ古代怪獣ゴモラは、小さなTVサイズの枠にとらわれずに生まれた名デザインであろう。ゴモラが精密に作られた大阪城を破壊する場面は、円谷プロの実力を存分に発揮した名シーンとなっている。
本作は子供番組としての立ち位置を改めて見直させてくれる名エピソード。人気怪獣「ピグモン」2度目の登板で、健気に戦って死ぬ姿を描き、視聴者の子供たちを涙させた。演出は『ウルトラQ』デビューの満田かずほ、特撮もまた『ウルトラQ』でデビューした有川貞昌。円谷プロ育ちの演出陣が制作に当たっていることも見逃せない。

【テキスト:幕田けいた(大衆文化研究家)】

©円谷プロ