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UPDATE:2016.10.14

業界著名人がアニメ作品をオススメ!

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5人のアイドルユニットが寮で共同生活
――本日は『超者ライディーン』を中心にお話をうかがいたいと思います。レーザーディスクが最後のパッケージ化なので、配信開始が話題になっています。
園田
自分自身、過去のものを振り返らないので、この前の上映会(サンライズフェスティバル2016満天)まで観たことがなかったです(笑)。
――20周年ということで、ひさびさにご覧になってのご感想はいかがですか。
園田
4話だけの上映でしたが、面白かったですよ。選んだのは第1話(「飛翔、時をこえて」)と最終話(第38話「超者降臨!」)は必須として、あとは飛翔がもう一回現れる回(第35話「飛翔ふたたび」)と、もう1本はちょっと面白い回を選んだんですよ。ライバルチームが出てくる第15話「その名はザ・ハーツ」ですね。
――改めて、どんな印象でしたか、。
園田
まず作画がいいんですよ。声優さんも豪華ですし、なんだかとても面白くて、「これが20年前か、ちょっと早すぎたな」と思いました。
――アイドルユニットで美形ばかりの変身ものなので、いま新番組でやったら受け入れられそうですね(笑)。『(新機動戦記)ガンダムW』が直前ですが、「美少年5人で」というオーダーは最初からですか?
園田
いえ、他の作品も含めて全然観たことがないんですよ(笑)。僕のところに来た時点では、まだ詳しい設定が何もなかったと思いますし。昔の『勇者ライディーン』にちなんだロボットを出すって、それぐらいですよ。全然違うのに、タイトルが同じでいいのかなって思ったくらいで。最初の段階では、等身大のかっこいいヒーローのフィギュアをいっぱい出したいという要望があって……。大きなロボットの玩具って、発売されてたんですか?
――出てます。出来も良かったです(「DX超合金 ゴッドライディーン」バンダイから1997年に発売)。
園田
ということは、やはり玩具メーカーさんからの要求ありきなんですよね。デザインと企画書はあったはずですが、おそらく名前などはダミーなんです。だから僕のほうで全部新たに書き直したはずです。
――そもそも旧作の『勇者ライディーン』はご存知だったんですか?
園田
影響受けてしまうといけないと思い、あえて見ないようにしていました。
――そんな気がしてました(笑)。鳥形に変形する設定と玩具デザインはすでにあったとして、5人の美少年ものの部分はどうでしょうか。
園田
美形の少年たちが出てくる部分は、こちらからの提示が大半だと思います。アイドルが寮でいっしょに暮らしてるみたいな設定にすれば、いつも全員そろって出られるんじゃないかなと。後に韓国ドラマの『美男ですね』(2010)を見たら、アイドルグループが寮に生活してるという設定が出てきて、「先取りしてたな」と(笑)。
――「いっしょに暮らす」という部分は、どの辺から来ているのでしょうか。
園田
芝居をするシーン、シチュエーションを作りやすいという発想です。それと「チームもの」が好きなので、アメコミの集団ヒーローものも潜在意識ではあったかも。あとは「部活もの」みたいな要素です。前にサンライズでは『(絶対無敵)ライジンオー』をやっていて、学校を舞台にクラスメートたちが活躍するものは前にやったことがあったので、それとは違うもので、寮みたいな場所があり、人に見えずヒーローとして活躍するというのをやりたかったんです。この「人に見えない」が自分にとってのツボでした。結局は見えたんですけど(笑)、最初の意図としてはモチーフを「天使」にして、一般の人から見えない悪い何かと見えない天使たちが戦っている物語なんですね。あまり他にないんじゃないかなと。
――珍しいかもしれません。園田さんの、ある種の理想的な英雄像ですか。
園田
人知れず戦い、それで葛藤するのがヒーローもののセオリーなんです。それをもっと分かりやすく「見えない」とすることで、面白くしようとしてたんですよね。ところが『超者ライディーン』の場合、裸になることばかりクローズアップされてしまいました(笑)。あれにしても「普通に考えたらそうなるだろう」ってだけでしたが。
――自然に見せたかったと……。
園田
そうなんです。身体がガーッと変化したら服が破れるだろうと。だったら戻ったときには裸になるよねって。それまでのアニメでは当たり前のように服が戻ったり、昔の海外ドラマの『超人ハルク』は服が伸びたりしてましたが、あれはテレビの前の人たちと「そういうもんだよね」ってお約束を結ぶ共犯関係にあることなんですよ。でも、これは自然にやってみたかった。「裸を見せたい」って意図はなかったんですよ。絵を描く人たちがどうだったかまでは分からないですよ(笑)。ノリノリでやってたのかもしれない。ともかく僕として、そこは大事じゃないと思ってたんで、反響にビックリしました。
――ストライクゾーンだったんでしょうね(笑)。
園田
変身が解けたときに裸だと「ワーッ! どうしよう」って、コミカルになるだろうなあ、シリアスな戦いの中にコメディの要素が入るといいなあとは思ってたんです。
女性ファンの増加に驚く
――集団ヒーローものという点では「アベンジャーズ」や「ジャスティスリーグ」みたいだし、ヒーローコメディも『TIGER & BUNNY』を先取りしてるみたいで面白いですよね。15年、20年早い感じで。
園田
僕の作品って意外と先取りしすぎが多いんですね。たとえば「2.5次元の舞台」が増えていますが、漫画を舞台化したのはおそらく僕が一番早かったんじゃないかなと思っているんです。学生のころ、劇団でアニメより早く大島弓子さんの『綿の国星』を舞台化したんです。漫画の演劇化なんて、ほぼなかった時代でした。
――方法論とかまだ全然わからないころですよね。
園田
言ってみれば「コスプレ芝居」で、今の2.5次元と非常に近いものでしたね。もちろん漫画をやりたかったというよりは、大島さんの素晴らしい原作に感動して芝居にしたくなったんですが。
――『ライディーン』に話を戻すと、5人の性格設定はどう考えられたのでしょうか。
園田
主人公の(鷲崎)飛翔を軸に、バランスを考えて一人一人を配置しています。僕って女性司令官が好きなんですよ。前に葦プロ(現:プロダクションリード)でやった『超音戦士ボーグマン』でも男2人と女性1人の3人チームに女性指揮官を置いていました。なので『ライディーン』のアイドルグループでマネージャーを指揮官にするというとき、「これは女性だ」とパッと浮かび……。
――そう言えば、『ライジンオー』でも司令官はマリアでした。
園田
男の子たちは母性に包まれたほうが居心地がいい、「男たちを動かしてるのは実は女だ」という発想ですね。そこは毎回同じことをやってる自覚があります。
――特別に印象的だったキャラクターはありますか。
園田
書いているうちにどんどん変わって意外性があったのは金髪のエースですね。こっちの意図より男っぽいキャラになりました。やはりサングラスをかけていたのが大きかったのかもしれません。
――ファンのリアクションはどうでしたか
園田
女性ファンがものすごく増えてしまって驚きました。オモチャを売って欲しいという作品でしたから完全に男の子対象で、掲載誌だってコロコロコミックですよ(笑)。その分、割と自由に作らせてもらったので、お話づくりに集中できて、きっとアニメ的に面白かったと思うんですよね。今だとマーケットリサーチが進んでいるので、なかなか難しくなりましたが。
――途中からライディーンが増えますが、最初からの予定でしたか。
園田
アイドルグループだから10体出せるってことでした。普通「10体出してくれ」と言われても難しいですよね。それで「できるだけはっきりした露出があるように」ってことを、いろいろと考えたんだと思います。今思うと、いっぱい詰め込まれたものをやっていたなあと思いますね。
――各ライディーンに鳥の名前がついていますが、もともと玩具デザインについていたんですか?
園田
いえ、デザインを見て、それに合わせてつけていったと思います。主人公の名前が「鷹」だったからそれを取り入れて……みたいな感じで、他もすべて鳥にちなんだネーミングにしています。
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