まず、評価できる点はやはりこの監督の得意とする「設定のすばらしさ」でしょう。本作での設定はほとんどそのまま.hackシリーズで再利用されます。しかしエンターテインメントとしての完成度はオリジナルであるはずのこちらがはるかに劣っています。
というのも、アニメ映画を主なフィールドとしている押井守のアニメチックな世界観をそのまま実写映画で再現しようとした結果、ひどく幼く陳腐なC級映画となっているためです。そしてなにより実写映画でのキャリアのなさが如実に現れている。
また随所に現れる「押井節」ともいえる表現は監督の引き出しの少なさを露呈しているようにしか見えませんし、すべての押井作品に言えることですが、設定・世界観のすばらしさが物語の進行や脚本のレベルの低さを引き立たせている。
一番ひどいのは低予算ゆえの戦闘シーンのしょぼさ。開始20分で回想シーン(というかただの使いまわし)が入るのも謎。