本作は、漫画版「夏のあらし!」を、シャフト独自のコミカルさと叙情性でまとめ上げた良作です。
しかし、アニメーションというものは元来がエンターテイントとして求められており、本作もその要請の枠内に留まっている印象を抱きます。
ですが、原作である漫画版の「夏のあらし!」は、切実に「戦争」を描こうとしています。
その戦争の陰惨さ、おぞましさ、陰惨さの表現を試みた小林尽先生の原作からは、「戦争はエンターテインメントでは描けない」ということを改めて感じさせられるのではないかと思います。
アニメ版の「夏のあらし!」は、原作のエンターテインメント性が良い意味で散りばめられていますので、本作で関心を抱かれた方には、どうかエンターテインメントを超え出るような原作を読んでいただきたいと思うのです。