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MARS RED #01(24分)
陽のあたる場所
大正十二年・初夏、予定よりも三日早く東京駅に戻った前田義信を迎えに来たのは第十六特務隊の森山だった。森山は中島中将の命令で前田を月島の施設へと誘った。地下深くに造られた月島の施設はなにかを閉じ込めておくためのものだ。前田がそこで見たものは、分厚いガラス越しの小部屋に座する女の姿だった。声をかけても答えはない。意思疎通ができないのだ。女は部屋に差し入れられた本を手に取ると女王サロメの台詞を高らかに放つ。彼女は帝劇の舞台女優・岬であり『サロメ』の舞台稽古の最中に事故で瀕死の状態になったのだという。その時に何者かの手によってヴァンパイアにされたのだ。第十六特務隊は人間の世界に潜伏するヴァンパイアを見つけて保護し協力者にすること、それができなければ速やかに処理するための組織だ。彼女をこのようにしたヴァンパイアが何者なのか、それを前田は追い始める。捜査に立ち寄った帝劇で事故の状況を語ったのは住み込み役者の外国人の少年・デフロット。岬は誰かにサロメを演じる姿をみてもらいたかったとデフロットは前田に伝えた。捜査中、前田の耳に岬が月島から脱走したと連絡が入る。前田は岬の姿を追い、未明の帝都を走る――。