よい薬がなかったので妹の病気は治らなかった。そんな経験を二度としたくないから懸命に創薬研究をした。しかし無念にも死んでしまった。そんな研究者が異世界に転生して、自分が持ってきた知識と新たに授かった能力を駆使してバリバリと人を治しまわる。いいですよね。すかっとします。(でもリファンピシンの構造を思い浮かべることができるって、常人じゃあないな。)現世の不条理を彼岸世界における何らかのカタルシスで解消する、という図式は善かれ悪しかれ宗教的なものを感じます。
でもねー、これは私の好みの問題ですが、できれば神様的な存在の話ではなくて、人間の話にしてほしかったです。ペストの流行を食い止めるにしても、帝都まで迫ってきた流行を、いろいろな人が連携して、がんばって、犠牲も出しながら、みんなで解決しました。その中心にファルマ君がいました、って話ならいいのだけど。これはDeus ex machinaですよね。