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春夏秋冬代行者 春の舞 第捌話(24分)
桜雨
――どうして世界は呼吸をしているのだろう。いま、こんなにも酷いことが起きているのに。秋離宮襲撃の報は、四季界隈を震撼させていた。冬主従は、それでも春顕現の旅を中止することができない春主従を心配する。狼星と凍蝶、そして雛菊とさくらは、切っても切れぬ繋がりが過去に存在していた。十年前――神話の体現である儀式、【四季降ろし】が冬の里で行われた。新米の四季の代行者が、季節の祖である冬の代行者の元で暮らすというものだが、従者とともに現れた春の代行者・花葉雛菊に冬の代行者・寒椿狼星は一目惚れをしてしまった。「……俺の春だ」 二人の縁は、ここから始まる。「寒いなら、暖かくすればいいんじゃないのか? 春の代行者なんだから」「練習以外でそういうことはしちゃいけないって……」 代行者同士は距離を近付けていき、「あれは流石に従者として見過ごせないのですが……」「すまない、さくら。年の近い女の子と話すのはほぼ初めてで慣れていないんだ」 護衛官たちもまた、関係を深めていく。春と冬がまるで神話の体現のように和やかに過ごすなか、冬の里に闇が訪れる。代行者の始まりの物語は、以下のように続く。――後ろを振り返れば春が居るが、二つの季節だけだった時とは違う。春と冬の蜜月はもう存在しなかった、と。