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UPDATE:2016.4.25

業界著名人がアニメ作品をオススメ!

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一度は「卒業」した子ども時代のヒーロー体験
――最新作の『コンクリート・レボルティオ~超人幻想~』(略称『コンレボ』)では、昭和のアニメや特撮を意識した世界観を構築されています。昭和40年(1965年)生まれの會川さんが子どものころで、原体験として印象に残っている作品はありますか?
會川
5歳ぐらいからの記憶はあるはずなのに、意外とはっきりと覚えている作品が思いつかないですね。TVはNHK中心の家だったので、人形劇のほうが先だと思います。特に『ネコジャラ市の11人』(70)は親戚の家から帰るとき、「最終回だから観たい」と泣いて親を引き止めた覚えがあります。それも実はフェイクの最終回でしたが(笑)。『コンレボ』のテーマにもつながりますけど、当時はアニメとか特撮とか人形劇とか厳密な区別はなくて、全部つながっている感覚でしたから。
――子ども向けバラエティ番組に至るまで、キャラクターは出てきますしね。「テレビまんが」として全部がひとくくりにされていた時代です。
會川
だから、いろんな印象が混ざって曖昧模糊としているんです。自分から積極的に観たいと思った経験では、『帰ってきたウルトラマン』(71)が最初になるでしょう。親の教育方針として、『小学一年生』を1年早く幼稚園の年長さんで取っていたので。
――それって飛び級っぽい考え方ですか?
會川
今から考えれば、そういうことでしょう。児童向けテレビ雑誌もまだないし、「幼稚園」は情報が薄いから、『小学一年生』を読んでいなければ、興味をもたなかったかもしれません。今でも1話完結で毎週違う怪獣が出てくるのが大好きなのは、その体験の影響が大きいです。だって、前後編のテロチルスは「同じ回が二度放送された」と思っていたくらいですから(笑)。
――たしかに70年代まで、テレビはいろんなものを取り混ぜて放送していました。再放送も多かったですし。
會川
まだモノクロの再放送もやってましたし、学校休みの再放送は『ジャイアントロボ』(67)と『ピュンピュン丸』(67)が定番で、いったい何回ぐらい繰り返していたのやら(笑)。中でも特別だったのは、『ウルトラセブン』(67)の再放送でしたね。テレビを意識して観るようになったのは1970年代からで、人形劇、『週刊こどもニュース』、『少年ドラマシリーズ』というNHKの6時台の編成が頭に入ってからは、できるだけ欠かさず観るようにしていました。
――『仮面ライダー』(71)も直撃世代では?
會川
実は最初、あまり観る気がしなかったんですよ。ところが夏休みが終わって9月に幼稚園に行くと、男の子が全員『仮面ライダー』ごっこに参加している。「これはいかん!」と、親に時間を調べてもらって観るようにしました。それ以降だと、たとえば『シルバー仮面』と『ミラーマン』が1週遅れて同じ時間帯の裏表で始まる(同年11~12月)という話題は一般週刊誌にも載るようになったので、父親から話を振られていました。3歳上の兄が『ミラーマン』を選んだから、じゃあ、僕は『シルバー仮面』観る、みたいな。
――TVは2台あったんですか?
會川
白黒とカラーがありました。
――ウチも同様でした。1970年前後にカラーTVが急に普及したときに買い足すので、家庭が2台体制になるんですよね。それで多少、チャンネル権争いが緩和するという。
會川
ただ、両方ともチラチラと観ていたかもしれません。『シルバー仮面ジャイアント』になったあたりで『ミラーマン』に合流し、その辺で小学校入学になります。
1本ずつ独立していたヒーロー番組
――そうしたTV体験と、『コンレボ』の世界はどう結びついているのでしょうか。
會川
混然とはしていても、自分の中では「1本ずつ別のもの」と刻みこまれていたということが大きいでしょうか。情報誌やネットのない時代、「やっている番組をたまたま観る」のがTVですから、出会いこそが重要なんです。友だちから聞いたりマンガで触れたり、親戚が買ったオモチャがたまたまそれだったとか、偶然性の大きな出会い方でした。「全部見よう」なんて気持ちも全然ない。ただしホームビデオがないですから、今観なければ次はない。新番組の情報が出始めたら、これは終わりだなという意識はある。ヒーローものが、ひとつひとつ全然違うものとして刻みこまれたのは、そのせいでしょうね。
――たしかに発展期ですから、長期シリーズがいくつもある現在とは違います。
會川
『ヤマト』でも『ガンダム』でも、あるいは『スター・ウォーズ』でも、長く続くシリーズが世界中で増えています。『仮面ライダー』など特撮ヒーローものは翌年にも作品があるし、『プリキュアシリーズ』ですら10年を超えている。でも、ずっと続いていくのは、たまたま残ってきただけで、大半の作品は続かないです。しかも「シリーズでズルズルとやるのは良くない」という矜持も、かつての制作者にはあった。それゆえ「ジャンルの中でもいろんな個性がある」と、未就学児童のころすでに叩きこまれてました。
――脚本を意識するなど、深みにハマったのは、それよりもずっと後になりますか?
會川
僕は小学校で一回卒業しているんです。先日、中島かずきさんがご自身のことを「卒業しようと思うと次がくる世代」と語っていましたが、僕たちの世代だと最初から「卒業しろ」と言われていた印象です。『帰ってきたウルトラマン』の次は『ウルトラマンA』(72)で、ある種卒業しやすい作品でしたし、「小学生のお兄ちゃんなんだから、もうこういうのは観ないよね」という親がほとんどです。小3の春休みには引っ越しして人間関係もリセットしたし、小4から小6までは中学受験に集中していたので、そこが完全に抜けています。『大空魔竜ガイキング』(76)、『宇宙鉄人キョーダイン』(76)、『快傑ズバット』(77)あたりは、レーザーディスクになるまで観たことなかったくらいで。
――つまり『秘密戦隊ゴレンジャー』の1975年から3年間ぐらいが抜けていると。
會川
そうですね。『ゴレンジャー』も、コマのブームが来たことで、駄菓子屋さんで出逢いました。衝撃だったのがアカレンジャーで、「真っ赤なものは女の子向け」という固定観念があった時代ですから、「今どきのヒーローは赤なのか」なんて……。
――小学生にしては、かなり批評的な見方ですね(笑)。
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