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<月刊>アニメのツボ

UPDATE:2014.1.25

クリエイターズ・セレクション「監督:森田 修平 インタビュー」公開中!

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業界著名人がアニメ作品をオススメ!

『SHORT PEACE 九十九』が米国アカデミー賞候補に!
和風でユーモラスな世界観をデジタル映像で魅力的に描く森田修平監督。
代表作『FREEDOM』そのままの豪快で自由闊達なクリエイションに迫る!

監督:森田 修平 インタビュー

取材・構成:氷川竜介

クリエイター感覚で、アニメのツボを徹底的に刺激!自作にまつわる貴重なエピソードから、
子どもの頃に大好きだったアニメ、プロを目指すきっかけとなった衝撃の作品などなど、
魅力的なガイダンスを聞きだします!
監督に大抜擢された『FREEDOM』
――『カクレンボ』は東京アニメアワードなど各賞をとられ、大きな反響がありました。
森田
ありがたかったです。それで確かに「映画をやりませんか?」などお話はたくさんいただきましたが、具体的な企画はなかなか通らず、苦しんだ時期もありましたね。それでもCGの仕事は続けていたので、実は『新SOS大東京探検』(06)のモデリングを孫請けに近いかたちでやっていまして、このまま結果が出なければ、そろそろどこかに所属しないと……という時期に来たのが、同じサンライズ荻窪スタジオからの『FREEDOM』(06)の監督依頼でした。
――それはどういった経緯でしょうか?
森田
大友克洋さんがスタッフを決めるにあたり、若手の作品をたくさんチェックされたらしいんです。それで『カクレンボ』も観たときに「コイツだ!」と監督が指名してくれたと聞いています。もちろん「ぜひやらせてください!」と、お引き受けしました。すべて任せてもらった分プレッシャーもありましたが、自分の引き出しにないものは出せないと開き直ってもいたので、それほど肩肘はらずに始めたのを覚えています。
――スタッフも若手中心でチームを組まれたそうですね。
森田
経験上、CG専門の部署が分業化されすぎていると、うまくアイデアを共有することができないことも多々あったんです。なので『FREEDOM』では、まだシステムに染まりきっていない若手中心でやろうと考えました 。もちろんアニメはシステムがあるからつくれるものなので、そこを否定するつもりはありません。ですが自分にとってCGで表現することの利点は、ミニマムなチームでとことんアイデアを出しあえることだと思っているんです。やろうと思えばキャラクターモデルもつくれるし、アニメーションをつけてレンダリングしてコンポジットもできる。みんながいろんな表現の可能性を もって集まることで分業は最小限にして、「こういうのはどう?」とみんなで意見を持ち寄る。それでより面白いアイデアが生まれ、作品もよりよくなるはずなんです。
先日、森本さんに「森田くんのそのやり方は、昔の僕らに似ているね」と言われました。やはり少人数でワイワイやりながら、領分のない感じだったそうですね。やはりそういう作品だからこそ魅力を感じていたのかもしれません。
――『FREEDOM』というタイトルと物語が象徴する仕事ぶりで、内容とのシンクロが興味深いですね。いま振りかえってみて、いかがでしょうか?
森田
第3話まではCGの利点を活かしつつ、SFとしてカッコいいアクション映像を見せることが主な目標でした。ですが本当にやりたかったのは、第4話のようなアクションなしで充分に見せられる、地に足のついたドラマです。地上に降りたタケルが裸一貫になりながら、ひたすら移動する「ロードムービー」仕立てにしましたが、あの種の地味なビジュアルと物語は本来CGが苦手とするものなんです。それをしっかりしたドラマとして見せられて、ものすごく良かったです。よくあれを許してくれたなと、今でも感謝していますね。後になるにつれてクオリティもあがっていきますが、自分が一番好きなのは第1話のギリギリ感で、フィルムから熱量を感じます。スタッフの意気込みや熱気は、絶対にどこかでお客さんにも伝わると信じています。
――作品づくり全体を通じて心がけたことは?
森田
世界観を大事にしつつ、何よりも一本の「ストーリーもの」として成立させたいと思いました。「CGだとこんなものか」と思われたくない一心でしたから、タケルを生き生きしたキャラとして描こうと。そこに共感していただけたのは良かったです。
『ボトムズファインダー』を経て『コイ☆セント』へ
――『FREEDOM』の次の作品は、『ボトムズファインダー』(10)でしょうか。
森田
実は『FREEDOM』の後は変に気負ってしまったようで、またなかなか企画が通らない時期にありました。『ボトムズファインダー』はCGI監修として初期のみ関わった作品です。監督の重田敦司さんはCGの扱いに悩んでおられましたが、「ウチは作画ベース、デザインベースの考え方ですから、難しく考えなくていいです」という話をしました。CGI監督は金本真で、非常にいいアニメーションに仕上がりましたね。
――次の『コイ☆セント』(11)は、どんな着想からつくられたのでしょうか?
森田
出発点は80年代あたりの「ボーイ・ミーツ・ガール」で、ラブコメをやりたかったんです。自分の出身である奈良県が平城遷都1300年祭をしていたのと、卑弥呼は奈良か北九州かと論争があったことなど、身近な要素をからめていこうと。鹿が300匹ほど出てきますが、こんなに鹿の登場する作品は他にないと思います(笑)。
――歴史に絡んだ世界観となると、土台となる美術も重要ですよね。
森田
美術監督の谷口淳一さんは非常に実力のある方で、大友克洋監督作品にも関わられているので、『コイ☆セント』でお願いできたときは嬉しかったです。「こんなにカラッとしたボーイ・ミーツ・ガールものは久々だ」と楽しんでいただけたのも、良かったです。最近では美術監督が設定を担当することも減りましたが、『コイ☆セント』では大仏などは末武康光さんですが、ほとんどの設定が谷口さんです。この作品もみんなの提案が多く、そこからまたいろんなアイデアが膨らんでチームとしてうまくやれた作品ですね。
――キャラが総出で踊るエンディングは、フィナーレの感じがよく出ています。
森田
寿美菜子さんの「Startline」も楽しげな歌でいいですよね。もともと「最後はみんなでインド映画のように踊りたいな」と思っていたんですが、予算上、難しいと諦めていました。ところが納品後、リテイクとV編(ビデオ編集)まで3日くらい余裕ができたので、みんなを集めて「よっしゃ、やるぞ!」と一気につくりあげたものです。谷口さんもお忙しいのにノリノリで面白がってくれて、本当に感謝しています。
――はっちゃけた作風には、森田さんの性格がいい感じで出ていますね。
森田
やはりああいうのが大好きですから、心から楽しんでつくることができました。
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森田 修平 関連作品


SHORT PEACE
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FREEDOM
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FREEDOM SEVEN
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カクレンボ
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コイ☆セント
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ボトムズファインダー
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革命機ヴァルヴレイヴ
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ガッチャマン クラウズ
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