クリエイターズ・セレクション

UPDATE:2014.9.25

業界著名人がアニメ作品をオススメ!

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Sphere主演の『夏色キセキ』
――さて少女が主人公の『夏色キセキ』(12)はまた方向性の違う作品ですが、どんな経緯で参加されたのでしょうか?
水島
「Sphere主演のアニメ」という企画自体は、自分の参加以前から動いていたものです。「この子たちが主役なら、殺伐としたものにはしたくない」という親心を、ものすごく感じましたね。「主役ありき」も別に嫌ではなく、むしろ面白いなと思いました。キャリアも積んで彼女たちがライブでやっていた朗読劇も、お芝居ができるという確信につながりましたし、デビュー以来の悲願であるなら、自分もいっしょに育てる立場になって進めようと。
――女子中学生の群像劇は、どのようにつくられましたか?
水島
アニプレックスさんからは「青春ものに少しファンタジー的要素を」というオーダーがあり、浦畑(達彦)さんが先に入られて簡単な構成メモもありました。時間がなかったので、そこから肉付けして各話の向き不向きを考えてライターさんたちにお願いしましたが、構成上はオムニバス形式にせず「ひと夏の限られた時間」をまとめていくことにしました。その上で、それぞれジュブナイルSFへのオマージュ的なテーマ、たとえば「人格の入れ替わる話」とか……。
――なるほど、あれは大林宣彦監督の『転校生』なんだ。
水島
そうそう(笑)。その中で個々のキャラクターの距離感、生い立ちを考えていきました。「このふたりが絡めばこういう形になる」というドラマも、Sphereのメンバーを見た印象値をキャラクターに埋め込んでみてるんですね。
――アテ書き(役者をイメージして脚本を書くこと)っぽいですね。
水島
あくまでも僕が持っているイメージとしてですが。たとえば優香は戸松遥さんで、ポジティブで常に笑っている感じ。深く物事を考えていないようでいて、絶対に嫌われない。そんなタイプだと想定しました。アテ書き的なのに、実はオーディションもやってるんですよ。全員に全部のキャラクターを入れ替わりながら演じてもらいましたが、結局は当初のねらいどおりに決まっていくんですね(笑)。
――それは面白いですね。
水島
「自分がどのキャラクターか分かる?」と聞いたら、意外と当たるんですよ(笑)。短期間でまとめるために、とにかく彼女たちを掘り下げて物語に落としこみ、お話それ自体はベタでいいやという考え方でつくりました。ジュブナイルは前から一度やりたかったので、時間が足りなかったこと以外はとても楽しく進められた作品です。
多角的に関わった女児もの『アイカツ!』
――続いて女児中心に大ヒットのアニメ『アイカツ!』(12)ですが、これは「スーパーアドバイザー」とクレジットされています。
水島
「歌がらみの子ども向けアニメをやりたい」と前々から言っていたので、サンライズから声をかけてくれました。ただし『楽園追放 -Expelled from Paradise-』と併走していたので、監督はムリだろうなと。そこで『夏色キセキ』で副監督だった木村隆一さんが監督、僕が「スーパーアドバイザー」としてバックアップという体制を提案されたわけです。初期の構成やキャラづくりなど根幹部分はいっしょに考えたているので、僕の色も出ているはずです。常々「アイドルとはどうあるべきか」みたいなアイドル論を説いていましたし、「アイドル観」をまとめるための議論を、よくやりまましたね。いちごと美月の対比なども、そこから出てきたことです。
――「歌」については、どのように関わられたのでしょうか。
水島
楽曲全体のコンセプト、方向性です。若鍋(竜太)プロデューサーからは「女児向けアニメですが、臆せずに攻めてください」と言われましたし、僕もそのつもりでした。自分が子ども時代に感化されたものって、どこかに子どもらしくない目線が入っているとか、ものすごくセンスが良かったものばかりなんです。だったら一流アーティストの曲をベースに、子どもたちが心から良いと思えるような音楽をぶつけるべきだと思いました。最初のうちは「アヴリル・ラヴィーンのようなポップスで」とオーダーしても、どこか抑えてしまうので、「存分にお願いします」と言うのも僕の仕事になりました。
――あの楽曲のインパクトは、そういうわけなんですね。
水島
攻めた曲が多いと感じられたなら、幼い子たちには先入観がないから、純粋に曲がカッコよければ確実にハマってくれると信じていたからですね。それもまさに、自分の小さかったころの経験から来ていることなんです。中でも吸血鬼キャラを演じているユリカが歌う「硝子ドール」は特別にエッジのきいた楽曲ですが、あれも“NIGHTWISH”というオペラ風に歌いあげる女性ヴォーカルのヘヴィメタル・バンドを参考にしています。
――これも大ヒット作品になりました。
水島
その中でも音楽を評価していただけていることは、非常に嬉しいですね。『夏色キセキ』のときにティーン誌を買いあさり、「これ可愛い」と思ってもらえる服装はアニメの場合、線一本で変わってしまうから、すごく難しいと実感しました。やぐちひろこさんにキャラクターデザインをお願いしたのも、『UN-GO』のときに女の子とファッションを可愛く描けた印象があるからですね。なので、女児とさらに年長の女性ファンに「服のコーディネートがとにかく楽しい」と言われるのは、すごくありがたいことです。
最新作はフルCG映画『楽園追放』
――最後に11月15日公開予定の新作映画『楽園追放 -Expelled from Paradise-』(14)についてお願いします。
水島
まさに佳境で、ゼロ号試写から完成度を上げるべく作業を詰めている最中です。僕と虚淵くんが組んでいるから、陰惨な作品に違いないという誤解を受けがちなんですが、彼は『翠星のガルガンティア』(13)を書いていますし、僕も『はなまる幼稚園』や『夏色キセキ』を監督しているわけです。とても良いお話ですし、心に訴える部分もいっぱいありますので、まずそこを信じてください!(笑)
――先入観はコワイですね(笑)。そしてフルCG作品は初になると思います。
水島
セルルックの3DCGでできる、現時点で最大限の表現は達成できたと思います。京田知己くん(『交響詩篇エウレカセブン』監督)が絵コンテ・演出で入っていて、クライマックスのアクションシーンは彼の演出力が遺憾なく発揮されていて、相当良いです。作戦行動にそって戦闘が展開されるときに構築される間や空気感は、実に良いと思います。
――予告編でも、気持ちの良い感じのフィルムだなと思いました。
水島
そういう意味では、僕と虚淵くんのコンビに期待されるものとは真逆かもしれません。当初から彼とは「人の死なない夢のある話をやろう」と言ってましたから。『楽園追放』というタイトルにこめられた意味も、映画を観たらはっきり分かるはず。ただし、あまりにもストレートなお話なので、今は何も言えません。繰り返しますが、陰惨な作品ではありません!(笑)。
――それをいちばん訴えたいと(笑)。今日は水島監督の中で一貫性がある部分がうかがえて良かったです。ありがとうございました。
PROFILE
水島精二(みずしま せいじ)
東京都府中市生まれ。アニメーション監督、演出家。東京デザイナー学院卒業後、撮影会社に入社。その後、スタジオ・ファンタジアでの演出助手から演出家のキャリアをスタートする。サンライズで制作進行、ゲーム会社でゲームムービーの演出を経て、『新世紀エヴァンゲリオン』(95)、『スレイヤーズNEXT』(96)などTVアニメの各話演出を多数担当後、『ジェネレイターガウル』(98)で監督デビュー。監督代表作は『地球防衛企業ダイ・ガード』(99)、『シャーマンキング』(01)、『鋼の錬金術師』(03)、『劇場版 鋼の錬金術師 シャンバラを征く者』(05)、『大江戸ロケット』(07)、『機動戦士ガンダム00』(07,08)、『劇場版 機動戦士ガンダム00 -A wakening of the Trailblazer-』(10)、『はなまる幼稚園』(10)、『UN-GO』(11)、『夏色キセキ』(12)など。最新監督作の映画『楽園追放 -Expelled from Paradise-』(14)は脚本の虚淵玄氏とタッグを組み、完全オリジナルのフルCGアニメ映画として注目を浴びている。
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