ジャンルとしては百合ものということになるのでしょう。
しかしこの作品は、パターン化された百合ドラマにとどまることなく、気だるいモノローグを主軸にしたストーリー、光の中に溶けて消えてしまいそうなはかない映像、控えめながら印象的な音楽が相まって、少女たちの心のほんのわずかな揺れを巧みに表現しています。
もちろんそれだけでは退屈な「二人だけの世界」の描写になってしまうところを、トリックスターとしての自称宇宙人をはじめとする二人以外の人々が巧みに補って、現実とも仮想ともつかない微妙なバランスの世界を創り出すことに成功しています。
ふだん百合ものというだけで敬遠していた私がこの作品を見たのは本当に偶然ですが、その偶然のおかげですばらしい作品に出会えて本当によかったと思います。原作者およびアニメ制作者の皆様に感謝します。