バンダイチャンネル

<月刊>アニメのツボ

UPDATE:2013.9.6

クリエイターズ・セレクション「岸誠二監督インタビュー」公開中!

業界著名人がアニメ作品をオススメ!

新作『蒼き鋼のアルペジオ -アルス・ノヴァ-』(10月放送開始)が話題の岸 誠二監督。
バンダイチャンネルに登録されている数々の自作から、何をオススメしてくれるかな?

岸 誠二インタビュー[後編]

取材・構成:氷川竜介
構成協力:桑島龍一/協力:フライングドッグ

クリエイター感覚で、アニメのツボを徹底的に刺激!自作にまつわる貴重なエピソードから、
子どもの頃に大好きだったアニメ、プロを目指すきっかけとなった衝撃の作品などなど、
魅力的なガイダンスを聞きだします!
憧れの銀幕デビューを飾った『AURA』
――岸監督はTVシリーズの監督も多いですが、今年は劇場アニメも担当されました。
 『AURA〜魔竜院光牙最後の闘い〜』(以下、『AURA』)は初めてやらせていただいた劇場用作品です。80分強と短めの作品ですが、勉強させていただきました。もともと映画をやりたいという気持ちが強くあったので、難しくも楽しかった作品です。とはいえ、長尺は尺の取り方からリズムの取り方から、考え方がテレビとまるで違う。やるにあたって分かっていたつもりですが、私個人の反省として、結果甘い部分もあったなぁ、と。それでも長尺としてちゃんと成立しているとは思っています。ちなみに、題材的には『中学生日記』(1972年〜2012年・NHKドラマ)だと思って臨みました。
――なるほど。それで「中二病的な問題」を扱っていると。
はい。いまの題材を扱いつつも、そのテーマをもった原作を、どう映像化すれば映画として成立するのかと。一番の肝は、「いじめシーン」だと思ったので、そこを映画の構造基点にしました。どんなに苦しくても、そこは何が何でもしっかりやろうと。中盤から後半にかけて高い緊張感が続くことになり、観客にもストレスをかけることになるのですが、そこは思いっきりやってしまえ!と。椅子に縛り付けておける映画ならではの思考です(笑)。監督していて楽しかったですよ(笑)。
――長尺で緊張感を保つのは、難しいですよね。
そこがあるから、多少は粗いところがあっても興行として成立したはずです。自分としては反省点だらけですが……。主人公の佐藤一郎君と、ヒロインの(佐藤)良子ちゃんの二人を軸にお話は進みますが、良子ちゃんへのいじめの現場を救った佐藤君が、他に落ち着く場所もなくて自分の家に彼女を連れてくる流れが大好きなんです。ああ、青春だなあ、って(笑)。
――そこにはシャワーシーンもあります。
映像的には無くてもいいんですよ(笑)。ですが、なければならいものとして成立させられたのがよかったなあ、と、ホッとしています。いじめを受けた後の心情描写にして、いわゆる「お約束」にならずに済みました。
――うまい演出ですね。
ここの場面の絵コンテを切ってくれた田口君という若手の天才新人の力でもありますね。それで一郎君が、家に良子ちゃんを連れて来てしまったはいいけれど、この後どうしたらいいんだ、と居間で呆然としている時の音響がまた良くて、そばにある水槽のコポコポする音しか聞こえない。ちょっと押井さんっぽい間尺の使い方で、そんな雰囲気も気に入っています。ついでに言うと、一郎君と良子ちゃんが出かけて一緒におそばを食べるシーンがあるのですが、ここが原作とは違って(映画本編では)立ち食いそばなんだな。
――そんなところにも『パトレイバー』の影響が(笑)。
完全に趣味! ホント申し訳ない(笑)。
――冒頭のゲーム風なシーンでは、大島ミチルさんを起用しながらもチープなサウンドが最高ですね(笑)。
本編ではガッツリと本領発揮していただきましたが、あそこは無茶な注文をしました。『ICO』(2001年/PlayStation 2)で大島さんの音楽に大きな衝撃を受けまして、それ以来ぜひお仕事をご一緒したいと。今回その念願が叶って、本当にうれしかったです。
常に新しいことを仕掛ける存在でありたい
――岸監督の作品は常に幅広く、それぞれ新鮮な何かを盛り込もうとしています。
監督というのは作品を任せられる立場ですからね。お客様に同じものばかり投げてたら、「もういい、飽きた」と言われかねないな、と思っているんです。「なんだかよくわからないぞ、でも目が離せないな」という感じになればいいなぁ、と。「この監督は、こんなのが得意だよね」と言って頂けるのはとても嬉しいのですが、怖いのは、「この監督は、こんなのしかやらないよね」と内外から思われ、イメージが固定され、次の機会が徐々に緩やかになくなっていくことです。だから、できる限り違う表現、違うコンセプトを入れていかないと、自分としても先がないし、もっと言えば常に新しい価値観にチャレンジして行かないとアニメ業界全体としても先がないと思っています。私自身、これからもお客様に「楽しい!」「面白い!」と言っていただきたいので、進化し続けたいと思います。精進します!
――最新作『蒼き鋼のアルペジオ -アルス・ノヴァ-』(以下、『アルペジオ』)について、お聞かせください。
アルペジオ』はリアルな艦隊戦というより、超兵器戦がひとつのみどころです。姿形は実在した旧海軍の艦艇を模してはいますが、その中身は実は未知の生命体だというところから、仕掛けてくる攻撃も奇想天外。そんな超絶な攻防戦がメインですね。

※2013年10月7日より放送開始!公式サイトはこちら
――となると、誰も観たことがないような面白さになると。
今回はサンジゲンという3DCGを得意とするスタジオで制作していまして、キャラクターもメカも何もかも3DCGで表現するテレビアニメを目指しています。すると、本当にテレビでは観たことがないような画面が出来つつあります。
――予告編を拝見するだけでも、相当新しい感触がありました。
単なる新番組というだけでなく、ある種のパイオニアとなる作品にしたかったんです。3Dアニメは過去にもありますが、30分番組のテレビシリーズとして、見た目には従来のセルアニメと同じようなキャラクターを3DCGだけで成立させた作品はまだ存在していないはずだと。原作の題材も、この手法にフィットしていますしね。とにかくやるなら一番手としてチャレンジしてみたかった。その結果、新しく面白いものが提供できそうな手応えがあります。ご期待ください!
PROFILE
岸 誠二
監督・演出。滋賀県出身。
代々木アニメーション学院卒業後、亜細亜堂にてアニメーターとして動画を担当。フリーを経て、株式会社ロジスティックスにてソフトウェア開発並びに同社アニメーション制作室「チーム・ティルドーン」発足に関わる。2003年『かっぱまき』で監督デビュー。
主な作品に『瀬戸の花嫁』(07)、『天体戦士サンレッド』(08-09)、『Angel Beats!』(10)などがある。2013年10月放送予定の『蒼き鋼のアルペジオ -アルス・ノヴァ-』を鋭意制作中。
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©2013田中ロミオ、小学館/AURA FILM PARTNERS  ©Ark Performance/少年画報社・アルペジオパートナーズ