クリエイターズ・セレクション

UPDATE:2015.8.28

業界著名人がアニメ作品をオススメ!

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現実世界に未来風を加えた『戦姫絶唱シンフォギア』
――「フューチャービジュアル」とクレジットされている『戦姫絶唱シンフォギア』(12)では、どんなリクエストがあったのでしょうか?
ロマン
企画段階でのオーダーは、近未来的な日本の都会の街です。商店街などは現在の日本とまったく同じで、ポイントですごく未来的な建物、駅、モノレールがつくられている。未来的な場所もありつつ古い学園の建物もある、そんなイメージです。いまは3期が放送中ですが、毎回違うところで戦うし、設定の量は多いです。魅力は歌って戦って、本当にものすごいことになってるアクションシーンですね。僕たちの描いた設定は、あまり注目されてないと思いますが、それも仕方ないと思えるクオリティです(笑)。どんどん人気が出てきた作品なので、これで映画をつくれたら、すごくいいでしょうね。
――小野(勝巳)監督とは、どんな感じのやりとりでしょうか。
ロマン
基本的でシンプルな情報提供だけで、後はこちらで考える感じ。河森さんとは違いますが、アクションに集中したいということで、それも良いと思います。魔法とテクノロジーが混ざっている不思議なエネルギー装置などは、表現が難しかったです。
――『アクエリオンEVOL』やこの作品では、異世界風の文字を設定されています。
ロマン
新しい惑星や異世界では、英語と日本語の文字は使えないので、オリジナルの字があると街並みのお店の看板などで使えて便利なんです。何もデザイン起こさないと適当に描かれてしまうし、カットによって全然違う文字があがってきたりしますから。だからデザイナーの仕事になるんですよね。
――『AKB0048』(12)は、また河森さんとのお仕事です。
ロマン
これも設定のハードルが高かった仕事です(笑)。僕は音楽自体そんなに聴かない方ですし、そもそもフランスにはアイドル文化はなくて、まったく分からなかったんですが、楽しかったです。いろんな惑星に行ったり違う場所でコンサートをするので、設定の物量もすごく多くて、この作品に参加したことで、自分がレベルアップした感じがします。本当に、何でも描けるようになった気がして(笑)。
――それぐらい、さまざまなオーダーがあったと……。
ロマン
日本的な場所やヨーロッパ的な街並み、超SF的なところ、それが混ざった感じが好きです。古い建物だけでなく、背後にデカいメカ的なターミナルがあれば、その対比で面白い画がつくれる。完全にSFだと、なんだかお客さんが入りにくい世界になってしまうでしょう。生活感の出る街並みを混ぜると、面白い世界観になります。
――設定だけではなく、レイアウトも担当されていますね。
ロマン
難しいレイアウト、ことに世界観を見せるものは、僕たちデザイナーが担当することが多いです。そこも注目してもらえたらと思いますね。
――『AKB0048』のみどころは?
ロマン
もちろんアイドルグループです。本編でもAKB48のヒット曲がたくさん使われているので、コンサートシーンはすべてがみどころです。アップは作画で、踊ってるところはモーションキャプチャーのCGで。通常のステージだけでなく、小さなフライングプレートに乗って空中で踊って歌うのは、面白いし新鮮ですね。
『ノブナガ・ザ・フール』と『スペース☆ダンディ』
――『ノブナガ・ザ・フール』(14)は、画集に掲載されたカードがいいですね。
ロマン
最初のイメージボードの他は設定デザインだけ担当し、美術さんにお任せしました。その分、本編に使われるタロットカードのイラストを担当し、最初から最後まで僕がフィニッシュした絵が出るのは初になったと思います。エンディング前でキレイに映っているはずです。美術設定をやっているとキャラクターを描く機会がなくなってしまうので、この仕事は楽しかったです。いつも少しずつ違うことにチャレンジしてみたいですね。
――どういう発想のアレンジで描かれたのでしょうか?
ロマン
要素は本物のタロットカードがベースですが、レイアウトを多少変えたり、それぞれキャラクターのポーズとデザイン、色も変えています。作品の雰囲気に合わせ、クリーチャーをメカっぽくしてみたり。Blu-rayにもカードがついていたので、全巻買っていただいたお客さんは26枚持ってるはずです。
――メカニックデザインを担当された『スペース☆ダンディ』(14)は、渡辺信一郎氏が総監督ですから、お好きだとおっしゃっていた『COWBOY BEBOP』に通じる作品です。
ロマン
ぜひ多くの方に観てもらいたい作品です。『COWBOY BEBOP』はカッコいい系で、これはコメディだから、全然雰囲気は違いますが。ダンディたちの宇宙船(アロハオエ号)は、かなり自由にやらせてもらいました。「ハワイのイメージで」とだけ言われて、「どうしよう? 宇宙船と全然関係ないじゃない……」なんて思いました(笑)。それでハワイのカヌーをイメージして、横にフロートが付いている感じの宇宙船にしています。色も黄色にして、半分カッコ良く半分面白く、というデザインですね。
――コクピットは小型艇リトルアロハになり、さらにロボット形態ハワヤンキーにも変形します。
ロマン
リーゼントとアロハシャツのシンプルなシルエットで、シャトルがロボットに変形するところは、わざわざダサくして50年代、60年代風にしてみました。本当に面白くふざけたデザインを起こせて楽しかった作品で、そんな機会はないから、参加できてよかったです。メカシーンの作画も素晴らしく、めちゃくちゃカッコ良く見えるんです。あえてダサくデザインしたのに(笑)。1話完結で毎回違う演出と作監、雰囲気もまるで違うし、いろんな短編を観てる感じで、毎回が楽しみでした。早い段階でメカを起こしたので、どう使われるのか分からない状態が長かったですし。
――お気に入りのエピソードはありますか?
ロマン
4話のゾンビ回(「死んでも死にきれない時もあるじゃんよ」)が大好きです。
――あれはひどいですよね。毎回毎回、投げっぱなしにもほどがあるという(笑)。
ロマン
Aパートで全員死んじゃうから、「え? 後半はどうなるの!?」と思ったら、Bパート全部がゾンビ生活の話。最高のアイデアでしたね。もちろん次のエピソードでは、みんな回復しちゃう(笑)。全部違うから、観たら少なくともどれか1話は大好きになるはず。僕も他の人に「これが好き」と話したら、「それはそんなに好きじゃないけど、別のこれは面白かった」とか会話できたし、好みで好きなところが分かれるのが面白いですね。
――毎回、ビックリ箱みたいでした。
ロマン
またこういうのつくれたらいいですね。スタッフ全員、そう思っています。
――このゲル博士の宇宙船、どうして「自由の女神」なんですか?
ロマン
オーダーは「敵っぽい宇宙船にしてください」とだけ。「できたら、武器がついててとがった感じの宇宙船、以上です。」みたいな(笑)。それでゲル博士のキャラクターって、大きい猿……エイプですよね。
――もしかして、『猿の惑星』(原題「PLANET OF THE APES」。原作者はフランスの小説家ピエール・ブール)だから自由の女神という発想ですか?
ロマン
そういうことです(笑)。僕が子どものころ刺激を受けた『猿の惑星』のラストシーン、あの自由の女神の頭が出ているところを思い出して、オマージュしようと思って。
――ものすごく納得しました(笑)。
ロマン
スペースダンディ』だからこそそういう遊びができるんです。せっかく遊べる作品なんだったら、これはやるしかないなと。
今後の活動予定
――主に画集に沿ってお聞きしましたが、今関わられている新作についても、差し支えない範囲でお願いします。
ロマン
『キャノンバスターズ』という10分のパイロット映像を準備しています。原作はアメリカ人のクリエイター、トーマス・ラショーンさんで、僕はメカデザインとコンテ、日本側の監督として関わっています。うまくいけばTVシリーズになるでしょう。それと次の河森さんのビッグタイトルの世界観と美術設定も担当しています。
――楽しみですね。
ロマン
自分の劇場用オリジナル作品の企画も進めています。実現できるかとてもハードルが高いプロジェクトですが、がんばってつくろうと。美術、メカのデザイン仕事は大好きですけど、少しずつ監督の方にキャリアを進めたいと思っています。
――やはり作品まるごとをつくってみたいと。
ロマン
はい。もともと11年前に『オーバン・スターレーサーズ』で来たときは、共同監督でした。でも、その後はなかなか日本のアニメでシリーズ監督はできなかったです。言葉の問題もあるし、経験もまだまだでしたし。それでいろんな作品に関わって経験を詰み、また監督として作品つくれるようにがんばっています。
――他と違うユニークな作品ができることに期待しています。
ロマン
ありがとうございます。


PROFILE
ロマン・トマ
1977年、フランス生まれ。アニメーションの名門ゴブラン校を卒業後、イェットマン・エッフェル・サヴァン氏と共同の原作・監督のアニメーション企画『オーバンスター・レーサーズ』(日仏合作)を制作するため2004年に来日し、そのまま美術系クリエイターとして在住する。主な参加作品は河森正治氏と共同原作の『バスカッシュ!』(09)の他、『キスダム -ENGAGE planet-』(07)、『異国迷路のクロワーゼ』(11)、『アクエリオンEVOL』(12)、『モーレツ宇宙海賊』(12)、『戦姫絶唱シンフォギア』(12)、『AKB0048』(12)、『ノブナガ・ザ・フール』(14)、『スペースダンディ』(14)など。現在はアニメ制作会社サテライトに所属し、フランス人チームを率いている。各作品の美術設定、背景、イメージボードなどはフルカラー304ページの画集「LOST IN ANIME ロマン・トマ DESIGN WORKS」(サテライト発行)にまとめられ、注目を集めている。


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