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<月刊>アニメのツボ

UPDATE:2014.6.25

クリエイターズ・セレクション「作曲家:川井 憲次 インタビュー」公開中!

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業界著名人がアニメ作品をオススメ!

『パトレイバーシリーズ』『ウルトラマンネクサス』『機動戦士ガンダム00』
『東のエデン』と有名作品の数々を手がける人気作曲家・川井憲次。
初期作品から現在に至る足跡を、作曲環境の変遷なども交えてお聞きします!


作曲家:川井 憲次 インタビュー

取材・構成:氷川竜介

クリエイター感覚で、アニメのツボを徹底的に刺激!自作にまつわる貴重なエピソードから、
子どもの頃に大好きだったアニメ、プロを目指すきっかけとなった衝撃の作品などなど、
魅力的なガイダンスを聞きだします!
『ウルトラマンネクサス』の人間的な特撮ヒーロー
――特撮作品では『ウルトラマンネクサス』(04)を担当されていますが、「ホラー系」だから『リング』なども担当している川井さんにオーダーがあったのでしょうか。
川井
やはり暗いからでしょうか(笑)。だいたい僕のところにはちょっと一癖あるダーク系の作品がくるようですね。
――メニューも暗い感じになるんですか?
川井
もちろんウルトラマンのヒロイックなテーマもありますが、オーダーは暗い感じの曲が多かったですね。子どものころの『ウルトラマン』『ウルトラセブン』の音楽が自分の中に染みこんでいますが、「あまり引きずられないでほしい」と言われまして、悩みつつも自分なりの解釈でつくりました。でも、とても楽しい仕事でしたね。自分が小さいころに見ていた『ウルトラマン』の音楽を自分がつけているというのが感慨深くて。きっと他の作曲家の方々もそうですよね。
――完成した作品をご覧になられた感想は?
川井
ダークヒーローとまでは言わないまでも影をもった主人公が人間的で、スカッとはしないけど、僕はものすごく好きでした。そんなウルトラマンがあってもいいなと。悪のウルトラマンも、そういうオーダーどおりです(笑)。とはいえウルトラマンですから、完全な悪者みたいにはしなかったつもりです。
序盤は暗く、終盤はイケイケの『ガンダム00』
――ビッグネームとしては『機動戦士ガンダム00』(07)も担当されています。
川井
これも「歴代のガンダム的な音楽にしないでほしい」というオーダーで、暗い部分をフィーチャーしたいというお話でした(笑)。
――年表的にも西暦で、歴代のガンダムとは違って現在と地続きです。そんな場合の世界観は、どこからつかむのでしょうか。
川井
すべては監督のお話や絵コンテ、音楽のメニューからですね。ファーストシーズンは序章ですから、どうしても暗い曲が目立ちました。セカンドシーズンの方が、全体に派手でした。終盤はかなり戦闘も多く、イケイケなところも出てきますね。
――劇場版は宇宙生物との戦いもあります。
川井
もちろん新しい部分は新曲を依頼されましたが、「TVの曲も使ってほしい」というオーダーもあり、何曲かは録り直しています。映画は仮とはいえ映像があるので、それに合わせていくつくり方です。劇場用は少し大きめの編成にしています。でも、5.1chか2.0chかは、作曲や録音段階ではまったく意識していません。
残念な音楽を試みた『アキバレンジャー』
――『非公認戦隊アキバレンジャー』(12)は、パロディ満載の笑える特撮でした。
川井
「情けない音楽」「残念な音楽」がキーワードでしたが、なかなか方向性が決まらなく、模索しながらの作曲になりました。「残念さ」って人によって違うわけです(笑)。「高速のサービスエリアで売ってるカセットで、歌の途中で高い声が出ないからオクターブ下がるような残念さがいい」とか「演奏がすごく下手で残念」とか「曲が良いとこまでいってるのに、いきなり盛り下がる」とか、人によって違う。「ちょっと待って!」と。だってそれを総合すると、僕がヘタクソで、ただのヘボい音楽と思われてしまうんですよ(笑)。「わざとやっているので理解して下さい!」と説明するわけにもいかないので、結局は自分なりの「残念さ」をつくっていくことになりました。
――残念さを曲で表現するのって、大変なことなんですね。
川井
今でも正解は分からないです。結局落ち着いたのは、一瞬ある程度カッコいいところで決めといて、ショボくなるみたいな感じ。どうやって残念に持っていくかは、点ではダメで線にしなければならず、だいぶ悩みました。
――歌ものは、どうでしょうか。
川井
アキバというキーワードがあるから、歌も入れたい。だったら初音ミクがいいねと、僕が勝手にそう思ったわけですが、デフォルトで鳴らしているだけなので、日本で一番ヘタクソなミクの使い方だと思います(笑)。普通はエディットするところをあえて何もせず、残念さを出してみました。
――音楽的にはものすごく挑戦的な番組だったんですね。
川井
総監督の田崎(竜太)さんがものすごく面白い方だったので、とても楽しい仕事でした。
ギャグ・コメディ的な川井サウンド
――そんな川井さんのギャグ的な持ち味、ライト系、コメディ風の曲が、あまり知られていない気もしています。
川井
笑える作品で音楽が注目されること自体、滅多にないからでしょう。ギャグCDって買いませんよ(笑)。でも、7月から放送される『ばらかもん』というTVアニメでは、軽いコミックな感じの曲を楽しくつくらせていただきました。
――そういう場合、気をつけられていることは?
川井
上品なギャグと下品なギャグがあると思うんです。上品なギャグはオーボエやファゴット、クラリネット系の音でとぼけたフレーズを演奏するのが定番です。でも自分ではちょっと物足りなくて、もっとヒドイことをやりたいと、つい思っちゃうんです(笑)。
――下品なギャグ音楽は、どういう感じでしょうか?
川井
ものすごくヘタクソなドドンパのリズムに、汚いギターが乗っているみたいな感じ。そんな下品さは大好きですね。オーダー次第ですが、壮大になればなるほど楽しくなっていきます。『ばらかもん』のある曲では、うまい笛の人が吹いている端っこの方で、ものすごくヘタクソでどうしても吹けない男の子がいるという設定を勝手にしています。散々かき回しておいて、途中で吹けなくなったりする。そんな気持ちで、僕が自分で演奏しています(笑)。そういうのが楽しくて、大好きなんですね。本編のストーリーとは関係ないですけど……
――明るい傾向の川井さんの音楽もいいですよね。『らんま1/2』(89)や『めぞん一刻』(86)も担当されていますし。
川井
ここのところ来る仕事は、デカくなったり空飛んだり、刀持ってるみたいなのが増えました(笑)。でも実写版の『パトレイバー』には、ドリフのコントっぽい曲も求められています。特に4話はそのテイストです。
――最後に川井さんから、読者の方にメッセージ的なものがありましたら。
川井
難しいですね(笑)。『ばらかもん』など、これから予定されている作品を、どうかお楽しみください。
――ありがとうございました。
PROFILE
川井 憲次(かわい・けんじ)
1957年、東京都生まれ。作曲家。ギタリストとして活動した後、1987年に押井守監督初の実写映画『紅い眼鏡』で一躍注目を集める。その後『機動警察パトレイバー』(88)を筆頭に、押井ワールドに欠かせない立役者として知られる。『らんま1/2』(89)、『めぞん一刻』(86)、『BLUE SEED』(94)など数々のアニメ音楽を手掛ける一方、映画、ドラマ、ゲーム、TVCMといった映像作品にも幅広く楽曲を提供。特に『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』(95)と『リング』(98)以降、海外からのオファーが増え、国内外で活躍の場が広がっている。近年もNHK連続テレビ小説『梅ちゃん先生』(12)に起用され、同年末の紅白歌合戦でオープニングテーマ「Meet the Music」を書き下ろした。
最新作は『ゲノムハザード ある天才科学者の5日間』、『劇場版薄桜鬼 第二章 士魂蒼穹』、『THE NEXT GENERATION パトレイバー』、『BORDER 警視庁捜査一課殺人犯捜査第4係』、『MONSTERZ モンスターズ』と、2014年上半期だけでも話題作が目白押し。続く7月はTVアニメ『ばらかもん』、8月は映画『ライズ・オブ・シードラゴン 謎の鉄の爪』が待機中。
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