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<月刊>アニメのツボ

UPDATE:2013.10.25

クリエイターズ・セレクション「大河内 一楼 インタビュー」公開中!

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業界著名人がアニメ作品をオススメ!

『コードギアス 反逆のルルーシュ』や『革命機ヴァルヴレイヴ』などヒット作の裏には、どんな秘密が? 意外と知られていない脚本執筆の秘話を、隅から隅までたっぷりご紹介!
ヒットメーカーが語るアニメの脚本術

脚本家:大河内 一楼 インタビュー

取材・構成:氷川竜介

クリエイター感覚で、アニメのツボを徹底的に刺激!自作にまつわる貴重なエピソードから、
子どもの頃に大好きだったアニメ、プロを目指すきっかけとなった衝撃の作品などなど、
魅力的なガイダンスを聞きだします!
谷口悟朗監督とつくった『プラネテス』
――次の『プラネテス』(03)では谷口悟朗監督と組むことになります。
大河内
無限のリヴァイアス』(99)が大好きだったので、お話しがあったときは、まだ原作を読んでないのに、二つ返事で引き受けましたね。ただ、原作(幸村誠著)がまだ2巻までしかないのに2クールと言われて、かなりオリジナル要素を入れないと、2クールは持たないなって感じたんです。とはいえ、それでも原作があるというのは、オリジナルとはまったく違いました。オリジナルだと、どこに向かってもいい分、どこに行ってもダメかもしれないという、真っ暗闇な感じがするんです。でも、原作があると、途中の道は真っ暗でも、遠くの方に光が見えていて、ともかくあそこに向かって進めばいいんだなと分かる。それは大きな違いですね。
――その原作からは大幅にアレンジされていますが、どう進められたのでしょうか。
大河内
バンダイビジュアルの湯川(淳)プロデューサーから「海外ドラマの『ER』とか『踊る大捜査線』みたいな職業ものはどうか?」という話があって。なるほどと書き始めたのですが、どうもうまくいかないんです。はたと気がついたら、その手の職業ドラマは1時間番組なんですよ(笑)。しかも「医者」や「刑事」なら職業を説明しなくていいし、人が死ぬことは悪いに決まっている。でも「デブリ屋さん(宇宙のゴミ処理業者)」の職業とか捕獲するデブリがなぜ悪いかは、説明がいっぱい必要なんです。30分にはとても入らなくて苦しみましたね。でも、このときに多くの情報を30分で処理するという格闘をしたことは、次のオリジナル作品『コードギアス(反逆のルルーシュ)』(06)に役に立ったと思います。
今の時代に合わせたダークヒーロー
――『コードギアス 反逆のルルーシュ』(06)は大河内さんの代表作ですが、あのユニークな企画は、どんなところから出てきたのでしょうか。
大河内
実は企画初期、夕方番組としてロボットアニメをつくろうとしていたんです。ところが第1話の脚本を書いた後から、「深夜番組になりました」と言われて、ロボットも特に大活躍させる必要がなくなってしまったんです。それと、日中と深夜だと視聴者の精神性も違ってくるだろうということで、ギリギリのスケジュールでしたが、CLAMPさんのキャラだけ活かし、他は全部つくり直すことになりました。
――ダークな雰囲気も、深夜枠ならではのものなんですね。主人公のキャラクターは、どう考えられましたか?
大河内
深夜枠になったことで、想定視聴者を中学生から高校生にあげたんです。そうなると、まっとうな正義より、少しひねった方が精神的に近いだろうと。また、当時、学校の先生に取材したのですが、時代的にヒーローには知性が求められているという風潮があったんです。自分が知略バトルが好きというのもあり、知的な主人公、もっと押して策略家というルルーシュの側面が生まれてきました。そうする中で、木村貴宏さんの描いた表情集の中に憂い顔で寂しそうなルルーシュがいて、それがすごくいいな、って思ったんです。策略家だけど繊細な部分を持ち合わせているのは、その木村さんの表情にインスパイアされた部分も大きいです。
――脚本は、やはりスタジオで書かれたのでしょうか?
大河内
ええ。あの「オレンジ」(ジェレミア)がキャラクターとして育ったのも、現場にいた結果だと思っています。最初は序盤で退場する中ボスで、名前もなかったくらいですから。ただ、脚本コンテと作業が進むうちに、現場の人たちがジェレミアを楽しんでくれていて、演出家やアニメーターが最初の視聴者なんだなと実感しました。他にも、こんなのやりたいとか、こういうの格好いいと思うよ、と感想やアイデアを貰うことも多くて……みんなで作ったという印象の強い作品ですね。『キングゲイナー』『プラネテス』『コードギアス』というスタジオで書いた三本は、「サークル活動」的な部分があって、とても楽しかったですね。
集団作業の中から生まれる脚本の面白さ
――うかがっていると集団作業の楽しさがあり、脚本づくりの印象が変わります。
大河内
もちろん脚本を書いていると、意見がぶつかることも多々あるんです。自分がいいと思った意見が通らないこともあります。でも、他の人の意見の通り、一度は書いてみるか、と書いてみると実際に面白く思えてくることも多いんです。作業を進めるうちに、相手の意図が理解できてきたり。逆に、自分が書いてきたモノを、想像と違ったけど面白いからOKしてもらえる場合もあるし。
――脚本は作家が一方的に書いていると思われがちですが、そうではないと。
大河内
基本はキャッチボールでしょう。特にオリジナルだと、やはり「暗闇の中での手探り」になりますから、キャッチボールでないとお互い分からないと思います。
――谷口監督とのお仕事の印象はいかがでしたか?
大河内
強烈な美意識がある人という印象です。美意識というとより、美学といった方が分かりやすいかもしれませんね。谷口監督作品って、常に彼の美学できちっと統一されてると思うんです。でも、谷口さんが絵を描いているわけでもないし、コンテを全部きってるわけでもないし、脚本を書くわけでもない。それなのに、あれだけの完成度を実現できているのは、スタッフを一定方向に引っ張ったり、誘導するのがとても上手な人なんだと思います。
――いろんなタイプの監督がいるというのも、アニメの面白いところですよね。
大河内
そうですね。なので、どんな監督と組むかによって、または何度組むかによって、完成する作品は違うものになっていくんです。二人で「プラネテス」を作ってなかったら、「コードギアス」はなかったと思いますし。
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