――最新作『革命機ヴァルヴレイヴ』についても、コメントをお願いします。驚きに充ちたビックリ箱的な展開は、大河内さんらしいなと感じます。
- 大河内
-
それは特に狙ったわけではないんですが、結果的にビックリ箱的な作風になっていますね(笑)。僕としては「ロボットアニメをちゃんとつくりたい」と思ったことがスタート地点なんです。主人公がロボットに乗って、そのロボットが中心になって話が展開して、物事もそのロボットの戦闘で解決されるという。ロボットが最重要人物であってほしいと考えたんです。だから、ヴァルヴレイヴというロボットは特別な存在で、世界中の人が狙い、恐れているんです。
――「学園もの」にしたのは、どういう理由でしょうか?
- 大河内
-
ロボットも、宇宙も、未来も、現実にはないものじゃないですか。そうなると、一つくらいは視聴者に地続きな存在があった方が見やすいんじゃないかと思ったからです。現代日本人の共有体験って、やはり学校だと思うので。それと、何も持っていないところから始めたかったということでしょうか。今回の作品では、「建国」の話をやってみたかったんです。「建国」というと立派な人たちの歴史的事象に思えますけど、現実は必ずしもそうではない。期日通りに荷物を運べなくて、死罪になるのがイヤだから反乱したら国ができてしまった――という、わりと勢いなことも多いんです。そういう、始まりは勢いだったけど、後から振り返ってみると、歴史上の事実になっているというのが、好きなんです。
――「革命機」という言葉は、建国話に関連しているのでしょうか?
- 大河内
-
変化を望んでる人って多いんじゃないかな、と思うんです。給料が上がったり、恋人ができたり、受験に合格したり……そういうプラスの変化を。「革命」というのは、その「変化」を、歴史的な言い方にしたんです。今日と違う明日が来るという期待と不安の言葉なんです。
――映像化されたファーストシーズンの手応えはいかがでしょうか?
- 大河内
-
驚かされたのは、CGですね。これまでもロボットアニメ自体は手がけてきたのですが、CGで動くというのは初めてで、どんな映像になるのか全然想像できなかった。テレビシリーズでどれだけできるんだろう? って。でも、実際に映像を見て、とても驚いたし嬉しかったですね。こんなにできるんだ! って。CGじゃなかったら、あのヴァルヴレイヴのデザインは実現できなかったでしょうしね。
――キャラクターについてはいかがですか?
- 大河内
-
僕は松尾(衡)監督の一連の作品が好きで、中でも『紅kure-nai』という作品が好きだったんです。そこに流れる美学とか、キャラクターの感じとか。なので、一緒に仕事することができて、嬉しかったです。実際に組んでみて、できあがった作品を見ると、(これは作画の鈴木さんの部分もあるんでしょうけど)、とても丁寧で品がいいな、って思いました。まだ進行形の作品なので総括っぽいことは尚早だと思いますが、今回のスタッフと一緒に作れたことを感謝しています。脚本作業はもう終わっているので、今は毎週放映を楽しみにしている一ファンです。
――現在進行形の作品ですが、第2シーズンに向けてのアピールポイントがあれば。
- 大河内
-
第1シーズンでロボットが全機登場し、パイロットも固定され、リーダーと参謀などキャラの配置とチームができあがりました。準備完了して、さて、どうやって革命を実現するのか? そんなところを楽しんでもらえれば。自分が最初に想像したのとも違う話になっていて、それはいつもアニメの脚本をやっていて良かったなと思う部分ですね。先ほども言ったように集団作業だからこそ、面白くなる場合も多くて、もちろん功罪はあるにせよ、それでも僕はこのゴチャゴチャしたアニメの作り方が好きだなと思っています。
――ありがとうございます。もし他にアピールしたいことがあれば、お願いします。
- 大河内
-
劇場で現在進行形の『コードギアス 亡国のアキト』もよろしくお願いします。これが、めちゃめちゃカッコいいんですよ。僕自身、『ノエイン』など赤根(和樹)監督の作品が好きだったので、早く続きが見たいんです。現在、第二章が上映中なので、よかったら、こちらも見てください。
大河内一楼(おおこうち・いちろう)
脚本家・小説家。宮城県出身。
早稲田大学在学中から雑誌編集、ライターとして活動。脚本家としての代表作は2006年の『
コードギアス 反逆のルルーシュ(ストーリー原案、シリーズ構成)』。シリーズ構成は『
機動天使エンジェリックレイヤー』(01)、『
あずまんが大王』(02)など。近年は映画の仕事が多く、『ベルセルク 黄金時代篇』(12)、『伏 鉄砲娘の捕物帳』(12)などを担当している。現在放送中の『
革命機ヴァルヴレイヴ』(13)ではシリーズ構成と脚本を担当。