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<月刊>アニメのツボ

UPDATE:2013.10.25

クリエイターズ・セレクション「大河内 一楼 インタビュー」公開中!

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業界著名人がアニメ作品をオススメ!

『コードギアス 反逆のルルーシュ』や『革命機ヴァルヴレイヴ』などヒット作の裏には、どんな秘密が? 意外と知られていない脚本執筆の秘話を、隅から隅までたっぷりご紹介!
ヒットメーカーが語るアニメの脚本術

脚本家:大河内 一楼 インタビュー

取材・構成:氷川竜介

クリエイター感覚で、アニメのツボを徹底的に刺激!自作にまつわる貴重なエピソードから、
子どもの頃に大好きだったアニメ、プロを目指すきっかけとなった衝撃の作品などなど、
魅力的なガイダンスを聞きだします!
懐かしい名作の思い出を交えつつ、クリエイターが自作を振り返る好評連載。
今回は好評放送中の『革命機ヴァルヴレイヴ』や、大ヒット作『コードギアス 反逆のルルーシュ』の脚本家・大河内 一楼さんにお話をうかがいます。
アニメで「物語の設計図」としての役割をはたす脚本。しかし、それが1人で書きあげる小説とはどう違うのか、オリジナル作品ではどんな発想が大事なのか、知られていないのではないでしょうか。 個性的な監督たちと、どのようにして魅力的な作品をつくりあげていくのか。脚本づくりの面白さのツボを探っていきましょう。
雑誌編集部で知ったアニメの楽しさ
――今回は脚本家という観点から、アニメに関するお話をうかがいたいと思います。まず大きな影響を受けたアニメは、何でしょうか。
大河内
やはり『機動戦士ガンダム』(79)ですね。それまでは、他の友達と同様にアニメは見るだけのモノだったのですが、『ガンダム』を見て初めて、アニメ雑誌を買いました。テレビを見るだけじゃ物足りなくなったんです。お小遣いは限られていたので、本屋さんで長時間どのアニメ雑誌を買うか吟味しました。結果、選んだのは、文字情報が一番多かった「OUT」でした。後に、アニメーターの吉田健一さんたちと初めて買ったアニメ誌について話したんですが、「安彦さんの原画が載ってる」という理由で、アニメ誌を選んでいたので、最初から興味のアリ所が違うんだなあ、と妙に感心しました。それからアニメを大量に観るようになり、特にサンライズのロボットアニメはほとんどチェックしていました。他にも国際映画社とかいろんな種類のロボットアニメがあって、戦国時代みたいな時期でしたね。
――では、そのままずっとアニメを見続けて今に至るのでしょうか?
大河内
大学に入ってからパッタリと見なくなりましたね。田舎から東京に出てきて、男子校から共学になって、一人暮らしでお酒なども解禁で、他の新鮮さに心を奪われていました。でも、大学時代の後半で、富士見書房さんにバイトに行ってから、またアニメを見るようになりましたね。たまたま、アニメの話になって、『無敵超人ザンボット3』(77)を見たことないと口にしたら、先輩たちがドッとやってきて、「まず、人間爆弾の回を」「いやいや、最初から見せるべきだ」「ダイターンが先の方がいい」って議論百出しながら、いっぱい貸してくれるんですよ。
――そうそう。アニメファンって教えたがりなんですよね(笑)。
大河内
僕はそういうサークルには入っていなかったし、コミケも未経験だったので、それがメチャメチャ楽しくて。そこから、僕のアニメ人生が再スタートする感じですね。
――『ガンダム』以降に、影響を受けた作品は何かありますか?
大河内
『とんがり帽子のメモル』(84)ですね。この作品は一話完結のスタイルなので話ごとに色が違っていて、でも、何話かに一度、ビビッとくる回があるんですよ。なんでだろうと思ってたら、ある日、ビビッと来る回は必ず演出に「佐藤順一」という人がいるんだと気づいて。そこから、スタッフでアニメを見るようになりましたね。
――どんな部分に惹かれたのでしょうか?
大河内
脚本家の部分も大きいと思いますが、お話のつくり方、キャラの見せ方です。全体が温かく、ちょっと優しくて泣かせる。品がよくて綺麗なんです。特にサブキャラの描き方が好きでしたね。グレイスという意地悪な女の子にも、彼女なりの願いや気持ちを与えたりしていて。そういう世界まるごとを包む空気感とかがとても好きでした。実はいまだに佐藤順一監督とはお仕事ができていなくて、ぜひ一度と思っています。
――全体としてキャラが動いている感じは、大河内さんの作品にも共通しています。
大河内
たしかに、あれを目指している部分は、どこかあるかもしれませんね。
『∀ガンダム』で富野由悠季監督と組む
――脚本家としてデビュー前に印象的だった作品は他に何かありますか?
大河内
編集部で働いてからは、雑誌でアニメを紹介することもあり、独立してからもライターとしてアニメを仕事にしてしまったので、それまでとは見方が変わりました。単純にファンとして見られないというか。『新世紀エヴァンゲリオン』(95)にしてもスタジオ雄の小黒祐一郎さんから仕事の依頼があり、横から色々と見てしまったので、純粋にハマれなくて残念でした(笑)。ただし、アニメのライターとして、様々なスタッフの考え方や有り様に触れられたのは、後にものすごく役に立っていると思います。
――その当時は雑誌のライターでしたが、物語を書くようになったきっかけは?
大河内
先の小黒さんの紹介で『少女革命ウテナ』(97)のノベライズを書いたことがきっかけで、色々と小説の仕事が増えたんです。その中に『(機動戦士ガンダム)第08MS小隊』(96)のノベライズがあって。そうしたら、そこで知り合ったサンライズの方(後にコードギアスのプロデューサーになる河口佳高さん)から、富野由悠季監督の『∀ガンダム』(99)で「脚本を書いてみない?」とお呼びがかかったんです。脚本なんて、書いたことなかったら、とても驚きました。
――初めて書かれた脚本は、どうだったでしょうか?
大河内
当り前のことですが、それまで書いたことがなかったのでメチャメチャ下手でした。富野さんがコンテで修正してくれたので、なんとか放映できたというレベルでした。当然、首だろうなと思っていたら、河口さんからもう一度脚本を発注されたんです。今度こそは、ちゃんとした脚本を書かねばならない! と思ったのですが、でも、どうしたらいいか分からない。そこで、手元にあった星山博之さんの『∀』の脚本を百回以上読み返したら、小説と脚本は別のリズムなんだって体感的に分かってきたんです。大雑把に言うと、小説って盛り上げるために助走距離が必要な感じなのですが、アニメはすぐ跳べるというか。文字情報だけじゃなく、声、音、絵、動きがあるので、一度に投入できる情報量が高いんだなって。それに気づいてからは、ようやく脚本っぽくなった気がします。
――あこがれの富野監督とのお仕事はどうでしたか?
大河内
僕にとっては「伝説の人」ですから、目の前にいるだけで嬉しくて嬉しくて(笑)。 怒られることすら幸せでした。とはいえ、脚本家を続けるつもりも、続けられるとも思っていなかったので、『∀ガンダム』のときは、いい想い出ができたなくらいの気分だったんです。でも、『オーバーマン キングゲイナー』(02)でシリーズ構成をすることになって、意識が変わりましたね。「僕がこの作品に貢献できることは何だろう?」と、ものすごく考えました。それでサンライズのスタッフに『機動戦士ガンダム』について聞いてみると、実はいろんな人が意見をぶつけあった結果、ああいう面白さに繋がってるという印象を受けたんです。
――富野監督も、脚本家とはそんな感じでやりあっていたと証言されていますね。
大河内
結果的に富野色に塗りつぶされるにせよ、他人のアイデアが下敷きにあった方が、富野さんのアニメは絶対に面白くなる。当時、そう思いました。それで『キングゲイナー』には、いわゆる富野メモが存在していたんですが、「シリーズ構成は僕につくり直させてほしい」と我ながら生意気な提案をしたんです。「オーバーマンの特殊能力」とかを相談もなしに書いていって。色々と怒られましたけど、でも、富野さんは「若いヤツを育てよう」というモードだったようで、受け入れてもらいましたね。ありがたい話です。
 でも、あのとき全力で立ち向かったおかげで、技術的にも精神的にも手に入れられものは多かったです。たとえば情報を詰めこむにしても、「こことここだけ結べば成立する」とか「段取りを追わず、いきなり泣いているシーンから始まってもOK」など、いろんなノウハウを富野さんとの仕事で教わったと思います。
――スタジオでは富野さんの隣の机で脚本を書かれていたんですよね。
大河内
とても緊張しました。富野さんが脚本をめくるスピードが速いだけで「あっ、読み飛ばされた!」と怖かったし(笑)。アニメーターさんや演出家さんなどと色々と話せたのもいい経験でしたね。脚本家って、現場のスタッフからすると、ちょっと遠いところにいるんじゃないかってずっと思っていて、でも、目に見える位置で一緒に苦労して、夜中にアニメのバカ話なんかもできて、とても楽しかったです。
――『キングゲイナー』で思い出の回というと?
大河内
第17話「ウソのない世界」ですね。みんなに心の声が聞こえてしまう話で。富野さんが二稿でOKしてくれて、自らコンテをきってくれたのは嬉しかったなあ。富野さんがやる気になれる脚本を書けたのかもしれないって。自分は富野さんの『ガンダム』でアニメが好きになったので、その御本人とお仕事できただけでなく、未熟な自分を使い続けてくれて、たくさんの勉強をさせてもらったことは、本当に感謝しています。自分は本当に幸運で幸せだと思います。
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