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<月刊>アニメのツボ

UPDATE:2014.3.25

クリエイターズ・セレクション「脚本家:村井 さだゆき インタビュー」公開中!

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業界著名人がアニメ作品をオススメ!

千年を超える女優の生涯、日本の風景を活かした妖怪もの、
ハードな宇宙SFなどなど。ジャンルを問わず活躍する
脚本家・村井さだゆき氏の視点で、アニメの魅力が語られます!
最新作『シドニアの騎士』をどう映像化するか? そのアプローチに迫ります!

脚本家:村井 さだゆき インタビュー

取材・構成:氷川竜介

クリエイター感覚で、アニメのツボを徹底的に刺激!自作にまつわる貴重なエピソードから、
子どもの頃に大好きだったアニメ、プロを目指すきっかけとなった衝撃の作品などなど、
魅力的なガイダンスを聞きだします!
大切にしているのは「心をていねいに描く」こと
――他にアニメで思い入れ深い作品というと?
村井
その後の基点となったという意味では、各話脚本として参加した『魔法のステージ ファンシーララ』(98)ですね。『夏目友人帳』(08)と同じ大森貴弘さんが監督で、そのころからのご縁になります。大森さんは当時から実にていねいに演出される方なんです。「ぴえろ魔法少女シリーズ」ですから、小学生の女の子が魔法で変身してアイドルになるという設定ですが、どちらかと言えば家族や日常の中でいかにも起きそうな出来事ばかりで、つらいことも真正面から描くなど、地味ながらも真剣な姿勢でしたね。
――「日常をていねいに描く」という方向性は、ぴえろ魔法少女の伝統ですね。
村井
でも、80年代と90年代の差が出てしまったかなという気もしています。90年代のアイドルものだと、どうしても80年代ほど明るく能天気な世界観にできなくて。「握手会をやってもファンが来ない」みたいな、リアルな話をついやってしまい……。
――そういう場合、大事にされていることは何でしょうか。
村井
やはり心の問題でしょうね。複数の脚本家が参加すると、話をまたいで心情のつながりがバラけることが起きたりします。でも大森監督は、キャラクターの心情が各話でつながって見えるよう演出していました。そういう点含めて思い出深い作品で、あの時期に大森監督とていねいに心を描く物語をつくり続けたおかげで、今でも『夏目友人帳』で地味な話がいくらでもできるのだと思います。
その世界で生きている人の台詞を意識する
――その人気作『夏目友人帳』では、3、4期とシリーズ構成を担当されています。
村井
お話をいただいて原作を読んだら思わず泣いてしまったので、「ぜひやらせてください」とお願いしました。この作品は「妖怪もの」ですが、それよりもあの世界観を大事にしようと。妖怪は心をもっていて、主人公・夏目と心を通わせることができる。そんな世界観を描くために、原作者の緑川ゆきさんの出身地の熊本にロケハンに行き、人吉や阿蘇の森や神社など風景をよく見てきました。
――現地では、どんなことを感じられましたか?
村井
熊本を「九州」というイメージでとらえてはいけないな、ということです。夏の終わり頃でしたがすごく寒かったですし、風景もあまり本州と変わらない。そして舞台を限定しないという決まりごともあったので、日本のどこでもおかしくないような風景にしています。ただし人吉で印象的だったのは、霧が深かったことですね。妖怪と人間の境界がちょっと薄らぐような雰囲気で、あの世界観には霧が影響しているのかなと。
――そんなロケハンでつかんだ雰囲気を、脚本に反映させるポイントとは?
村井
これはなかなか難しい質問ですね。ロケハンに行く目的とは、その土地に住んでいる人の感覚をつかむことだと、僕は常々思っています。夏目や田沼、西村、北本らは現代の高校生とは少し違います。ロケーションを頭の中に組み立てると、「ここに住んでいる子たちはゲーセンに行ったりしないだろうな」と、自然に浮かびます。そうやって書かないと、あの世界観で暮らす高校生が発するリアルな言葉にならないんですね。彼らとその周辺に住む人たちが、なぜあれほど優しいのかというと、あの自然に包まれて生きているたちからでしょう。それを理解するために、ロケハンにみんなで行けたのは良かったです。そんな意識をスタッフが共有することで、独特の世界観がつくりあげられるんです。
――人気キャラのニャンコ先生に関しては?
村井
井上和彦さんがすでに確立されたイメージがあったので、それほど困りませんでしたが、気をつけたことは「ニャンコ先生はいずれ(人間である)夏目が妖である自分より先に死ぬことが分かっている」という点。なので夏目の相棒だけど、過保護にならないよう気をつけました。
――やはりキャラの心の動きが大事ということですね。
村井
ともかく緑川ゆきさんの素敵な世界観を壊さずに、いかに心情を表現するのかを一番に考えていました。なのでオリジナル回が難しくなるんですよ。でも、迷ったときは「気持ちを大切にしよう」という原点に戻って書いてきました。
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