バンダイチャンネル

<月刊>アニメのツボ

UPDATE:2014.4.25

クリエイターズ・セレクション「脚本家:倉田 英之 インタビュー」公開中!

  • ツイートする
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
業界著名人がアニメ作品をオススメ!

紙使い、神様になった中学生、カッコよくないカッコよさをめざすヒーロー等々、
型にハマらないアニメで大活躍の脚本家・倉田英之氏。
その視点で、アニメの魅力が語られます。
新作『龍ヶ嬢七々々の埋蔵金』に至る道。その幅広い活動の奥底に迫ります!

脚本家:倉田 英之 インタビュー

取材・構成:氷川竜介

クリエイター感覚で、アニメのツボを徹底的に刺激!自作にまつわる貴重なエピソードから、
子どもの頃に大好きだったアニメ、プロを目指すきっかけとなった衝撃の作品などなど、
魅力的なガイダンスを聞きだします!
「カッコよくないカッコよさ」をめざして
――同時期の『ガン×ソード』は、『かみちゅ!』とだいぶテイストが違っています。
倉田
その前の『(へっぽこ実験アニメーション)エクセル・サーガ』(99)と『今、そこにいる僕』(99)でもバランスをとりましたが、『ガン×ソード』では微笑ましい『かみちゅ!』だと不可能なアクション・バイオレンスをやりました。めざしたのは「カッコよくないカッコよさ」です。中学生のときに読んだ小林まことさんの『1・2の三四郎 』(78)が大好きで、主人公はカッコ悪いのに、やっていることはカッコいい。ちょっと昭和な香りもするヴァンという主人公のカッコよさを見てもらえたらなと。
――倉田さんの作風は、多彩ですよね。
倉田
舛成さんとの2本や『ガン×ソード』はスタッフで合宿に行き、役割分担に関係なく「あんなのを入れたい、こんなのも入れたい」という意見をガンガン出しあって取り入れた作品なんです。それで自分でも予想していなかった面白さやノリが生まれました。まさひろ山根(山根理宏)さんの「イメージリーダー」という役職もそんなノリの中から出てきたもので、作品の方向性を“なんとなく決める人”です。たとえば「これは男としてやっちゃいけないでしょ」とジャッジする。最終回のシナリオ構成にも、山根さんのアイデアが大きく反映されています。僕としては「Aパートで決着をつけ、Bパートはエピローグにしよう」と提案しましたが、山根さんは「悪を倒すのは最期の最期までとっておきたい」という意見を出されたので、現在の構成となっています。
オリジナル長編映画『宇宙ショーへようこそ!』
――そして舛成監督との『宇宙ショーへようこそ!』(10)は、初の劇場アニメ作品となります。
倉田
「今のタイミングなら劇場イケます」とプロデューサーの落越(友則)さんが言ったのが出発点ですね。一度舛成さんに好きなものを徹底的にやらせてみたいという想いが僕と落越さんにはあって、舛成さんから出てきたのが「小学生と犬」なんです。さらに年齢層が下がってしまいました(笑)。それで「子どもの大冒険」というジュブナイルっぽい物語にして、次に「夏休みに宇宙に行く」というアイデアが加わっていきました。
――映画用のオリジナル脚本をやられてみて、いかがでしたか?
倉田
僕も含めて「映画づくり」は全員が初めてで、すべてが手探りでした。脚本も書いては戻り、ちょっとずつ進むみたいなことを1年くらい繰り返しました。やっと最後まで書きあげたら「これでは4時間になってしまう」ということで、今度は「どこを切ろう?」と大騒ぎ。映画は描きたいことを絞らないといけないと、勉強になりました。
――完成しての手応えは、いかがしたか?
倉田
子役がみんなうまくて、本当によかったです。セリフもタイミングもバッチリなんですが、アフレコの合間には夏休みの宿題をやってるんですよ!あのギャップは新鮮な驚きで、「これが子どものリアルなんだ」と感心しました。思っているよりも大人なところは大人で、子どもの部分は子ども。そんな子ども像をつかめた部分含めて、オリジナルで劇場をやらせてもらったことは、本当に良い経験になりました。
若い「熱量」を大切にした最新作
――それでは、最新作のノイタミナ枠『龍ヶ嬢七々々の埋蔵金』(14)についてお願いします。まず原作を読んだときの印象は?
倉田
これまで読んだことのないタイプの小説だなと。『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』の時も「ラノベはずいぶん変わったな」と驚きましたが、さらに変わった感じです。そして原作者・鳳乃一真さんのデビュー作ということも大きいです(第13回エンターブレインえんため大賞小説部門で8年ぶりの大賞受賞作)。自分の好きなモノをガーッと入れることで生まれる「熱量」を感じました。キャラも僕たちとは違う行動原理で動いていたので、新鮮な感じがしましたね。
――そんな熱い原作をアニメ化する際に留意したポイントは?
倉田
俺妹』の経験から、ラノベをアニメ化するときの最大の難関は「分量」だと分かったんです。『七々々』も原作の分量をどうやって全11話に落としこむか、そこが考えどころでした。特に最終回ですね。何ひとつ解決しないままだったり、主人公ではないキャラにお話の軸が移ったまま終わると、シリーズとして収まりが悪い。七々々ちゃんの背景に何があるのか、その核心にどれくらい突っ込めばいいかに配慮しました。
――ヒロインの七々々は「地縛霊」ですが、部屋から動けないということで脚本に影響はありましたか?
倉田
確かに出番が限られてしまうのは、ストーリーラインのネックでした。その分は他のキャラクターに活発に動いてもらおうと。アニメならではの見せ場は、遺跡のトラップですね。僕が文字媒体で想像していた仕組みよりも、映像ではかなり複雑なものとして見せていて面白いです。
――亀井幹太監督とのお仕事は、いかがですか?
倉田
監督としてのトータルバランスをしっかり考えている人ですね。一度つくったシリーズ構成を「このままだと破綻してしまう」という監督の要望で破棄し、再構成しています。そんな冷静なジャッジをいただけたのは、ありがたかったです。それと亀井監督が一本だけシナリオを書いていて、それが実に面白いんです。原作をアニメとしてどういう配分で見せるか、そこでもトータルバランスがすごく良くとれていました。
――『サムライフラメンコ』(13)に引き続き、今回もノイタミナ枠になりましたね。
倉田
実は立ち上げのときはノイタミナだとは知らなかったんです。『七々々』は今までにない作品ですから、自分がファンなら驚いたでしょう(笑)。でもあまり気にしていないですし、「次に何が来るか分からない」という枠の幅が出るといいなと。
――倉田さんとしてオススメの、みどころは?
倉田
やはりキャラクターでしょう。原作の鳳乃さん自身が好きなものをふんだんに取り入れてつくったキャラクターですから、やはりものすごい熱量です。しかも巻を重ねていくうちに成長していくのも面白い。最後まで追っていく楽しみがあります。アニメでは、七々々ちゃんの「地縛霊」という設定のシバリに悪戦苦闘しているスタッフを見てください(笑)。
――今後はどのような作品を手がけていきたいですか?
倉田
『サムライフラメンコ』のように、ぜひオリジナルものを続けて書いていきたいです。「原作もの」が多い状況ですから、なかなか厳しいとは思いますが……。僕としてはここ1~2年で新しい世代の原作者さんといっしょに仕事して、そこで得られたものを今後の脚本に活かせたらなと。「財産」だけでやっていくのも厳しいということが見えてきたので。いかに最新のものを自分の中に消化していくかが、課題でしょう。ともかく若い原作者の方々は、よく働くので驚きました。みなさんお忙しい中、きっちり締め切りを守るんですよ(笑)。そんな部分も、見習いたいなと思っています。
――最後に告知などもありましたら、ぜひ。
倉田
ファン待望の『R.O.D』の小説が出ます。全12巻の予定が全13巻になったので、最終巻の手前になりましたが、完結編に向けてちゃんと書いてますので、お楽しみに!
PROFILE
倉田 英之(くらた・ひでゆき)
脚本家、小説家、コラムニスト。1968年、岡山県井原市生まれ。
高校卒業後、上京。編集プロダクションを経て千葉智宏、黒田洋介らと有限会社スタジオオルフェを設立。以後、アニメやゲームのシナリオ、小説、漫画原作、雑誌コラムと幅広く執筆活動を展開する。代表作は『魔法少女プリティサミー』(96)、『バトルアスリーテス 大運動会』(97)、『今、そこにいる僕』(99)、『R.O.D -READ OR DIE-』(03)、『かみちゅ!』(05)、『バンブーブレード』(07)、『宇宙ショーへようこそ』(10)、『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』(10)、『神のみぞ知るセカイ』(10)、『東京レイヴンズ』(13)、『サムライフラメンコ』(13)、『ガリレイドンナ』(13)、『最近、妹のようすがちょっとおかしいんだが。』(14)。最新作は『龍ヶ嬢七々々の埋蔵金』(14)。ビデオソフトの収集家としても知られ、エッセイ集に「倉本 倉田の蔵出し」(アスキー・メディアワークス)がある。
前へ |  |  | 
倉田 英之 関連作品

R.O.D
(全3話)
▶視聴はこちら

R.O.D -THE TV-
(全26話)
▶視聴はこちら

かみちゅ!
(全12話)
▶視聴はこちら

BRIGADOON まりんとメラン
(全26話)
▶視聴はこちら

俺の妹がこんなに可愛いわけがない
(全12話)
▶視聴はこちら

俺の妹がこんなに可愛いわけがない TRUE ROUTE
(全4話)
▶視聴はこちら

俺の妹がこんなに可愛いわけがない。
(全13話)
▶視聴はこちら


最近、妹のようすがちょっとおかしいんだが。
(全12話)
▶視聴はこちら

東京レイヴンズ
(全24話)
▶視聴はこちら

神のみぞ知るセカイ
(全12話)
▶視聴はこちら

神のみぞ知るセカイII
(全12話)
▶視聴はこちら

神のみぞ知るセカイ 女神篇
(全12話)
▶視聴はこちら


ガン×ソード
(全26話)
▶視聴はこちら

へっぽこ実験アニメーション エクセル・サーガ
(全26話)
▶視聴はこちら

バンブーブレード BAMBOO BLADE
(全26話)
▶視聴はこちら


OVA 魔法少女プリティサミー
(全3話)
▶視聴はこちら


TVシリーズ 魔法少女プリティサミー
(全26話)
▶視聴はこちら


魔法遊戯 (3D版)
(全1話)
▶視聴はこちら

OVA バトルアスリーテス 大運動会
(全6話)
▶視聴はこちら

TVシリーズ バトルアスリーテス 大運動会
(全26話)
▶視聴はこちら

今、そこにいる僕
(全13話)
▶視聴はこちら

かんなぎ
(全13話)
▶視聴はこちら

明日のよいち!
(全12話)
▶視聴はこちら

ささめきこと
(全13話)
▶視聴はこちら

ドラゴンクライシス!
(全12話)
▶視聴はこちら

宇宙ショーへようこそ!
(全1話)
▶視聴はこちら
有料会員(月1,080円)に
登録すると、 マークの
作品がすべて見放題!!