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<月刊>アニメのツボ

UPDATE:2014.4.25

クリエイターズ・セレクション「脚本家:倉田 英之 インタビュー」公開中!

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業界著名人がアニメ作品をオススメ!

紙使い、神様になった中学生、カッコよくないカッコよさをめざすヒーロー等々、
型にハマらないアニメで大活躍の脚本家・倉田英之氏。
その視点で、アニメの魅力が語られます。
新作『龍ヶ嬢七々々の埋蔵金』に至る道。その幅広い活動の奥底に迫ります!

脚本家:倉田 英之 インタビュー

取材・構成:氷川竜介

クリエイター感覚で、アニメのツボを徹底的に刺激!自作にまつわる貴重なエピソードから、
子どもの頃に大好きだったアニメ、プロを目指すきっかけとなった衝撃の作品などなど、
魅力的なガイダンスを聞きだします!
TVシリーズ『プリティサミー』でアニメ脚本デビュー
――脚本デビュー前には雑誌の仕事をされていたそうですね。
倉田
90年代初頭は、ホラー漫画雑誌で映画の紹介文を書いていました。同じ会社(スタジオオルフェ)で黒田(洋介)さんや千葉(智宏)さんがアニメ関係のお仕事をしていたので、自然にフィルムの切り出しなどお手伝いをするようになっていきます。そして『アニメディア』の記事ページでアニメスタジオに取材に行ったりアニメムックをつくったり、アニメのライティング仕事が中心に変わっていきました。『絶対無敵ライジンオー(91)のムックもつくっていて、「5組の谷口」というキャラクターが登場しているんですが、それは後に『ガン×ソード』(05)でごいっしょする谷口悟朗監督(当時は設定制作)のことなんですよ(笑)。世間って本当に狭いですね。
――運命を感じさせるつながりです(笑)。
倉田
ふしぎの海のナディア』(90)のCD-BOXの仕事では、庵野秀明さんと樋口真嗣さんに取材に行きました。お二方ともペンネーム(HIDE&シンディー)で作詞をされているので、コスプレでアー写(アーティスト写真)を撮影したのも良い思い出です。
――そしてアニメの脚本を手がけるようになるわけですが、そのデビュー作は?
倉田
TVシリーズ 魔法少女プリティサミー』(96)です。黒田さんがPCゲーム版『ああっ女神さまっ』のシナリオを書いたとき、制作会社がAICだったんです。そして『天地無用!』のOVA第2期で黒田さんに脚本の依頼があり、僕もスピンオフのCDドラマやパソコンゲーム版の仕事をするようになります。それで改めてTVシリーズの『プリティサミー』の脚本をお引き受けすることになったわけです。
――OVA版から設定が少し変わっています。
倉田
そのままだと2クールで物語を構成するのは難しいだろうと。当時は誰も止める人がいなかったので、本当に好き放題やらせていただきました。「アニメの脚本って、こんなに自由なんだ」という印象でしたね。
――その後『バトルアスリーテス 大運動会』(97)と続きます。
倉田
もともとゲーム版の脚本を書いていたので、黒田さんと話し合いながら構成をつくっていきました。シリーズ構成のノウハウがまだ全然分からなくて、「師匠筋」にあたる脚本家さんもいなかったので、大変悩みました。それで「東映まんがまつり」のひたすらエスカレートしていく構成や、スポ根もの、名作劇場的なノリなど、子どものころに観ていたアニメの影響が無意識に入っていったのだと思います。この2作は好き勝手やらせてもらえて新鮮でしたし、現場のスタッフも面白がってくれたのが良かったです。
原作小説を手がけたオリジナル作品『R.O.D』
――さまざまな作品を手がけられますが、代表作は『R.O.D-READ OR DIE-』(01)ではないでしょうか。OVA版の脚本以外に、原作小説も書かれていますし。
倉田
もうその当時はOVAの本数も減っていましたが、SPE・ビジュアルワークス(アニプレックスの前身)さんのかなり力を入れた企画で、アニメ以外に手広くメディアミックスさせていく方針でした。それで僕が手始めに企画の原形となる小説を書いたわけです。結果的にアニメはアニメとして、舛成孝二監督たちと話しあってキャラやストーリーを作りこんでいきました。僕は小説と漫画原作だけ担当する予定でしたが、「アニメの脚本も自分で書いた方がいいな」と感じたので、黒田さんにお願いしてそうしました。
――読子・リードマンの「紙使い」という能力とビブリオマニア(書籍収集家)という設定が、とても斬新に感じました。
倉田
山田風太郎の小説が大好きなんですよ。『魔界転生』のように歴史的に有名な敵が次々と蘇ってきて、本好きの主人公が紙で戦って対抗すると面白いのではないかという発想です。主人公は各方面の意向で女性にしました。僕自身の「本好き」という情念みたいなものもドバッと入っていると思います。前からアニメに「本棚がなかなか出てこないな」と不満を持っていたんです。出てきても、縦線が引かれて百科事典みたいに並んでいるだけで、なぜ凸凹していないのかと。「それは描くのが大変だからだよ!」と、後にスタッフに指摘されて、ようやく理由が分かりました(笑)。
――それは美術に負担ですね。
倉田
草薙さんには本当にご迷惑をおかけしました。作画にしても「紙を舞い散らせて戦ったらカッコいいぞ」と思ったわけですが、これも作画が大変なことに(笑)。なおかつ世界各所を飛び回ってアクションをやるのも大変なことで。さらに地味に大変なのは、主人公がメガネかけていること。フチが耳にかかると横顔のデッサン狂いが目立ってしまうんです。ただ、キャラクターデザインの石浜真史さんは同年代ですし、舛成監督もその前の『アンドロイド・アナ MAICO 2010』(98)でごいっしょした経緯もあり、全体としてはスムーズに進められて良かったです。
――そして『R.O.D -THE TV-』(03)としてTVシリーズにもなります。
倉田
おかげさまで好評だったので、早くから続編が決まりました。ただ全3話のOVAだからこそ許された部分も多かったので、2クールのTVシリーズとして回るよう調整するのが大変でした。舛成監督から「もう少し明るい話でやりたい」と言われていて、その時期に『チャーリーズ・エンジェル』のDVDを観て「これだ!」と(笑)。
――それでヒロインが3人に!
倉田
やはりTVだとクオリティの高いアクションを常時出すのは厳しいので、会話劇をメインにしようと。それなら人数が多い方がいい。それとドラマの『やっぱり猫が好き』(88)のように、マンションの中で三姉妹がダラダラと喋る感じが欲しくて。
――読子も途中から登場して、ファンには嬉しい展開となりました。
倉田
最初は「読子は出ないのか!?」とファンに怒られましたが、サプライズにしたかったので、ごまかしながら進めていました(笑)。結果的に三姉妹も好きになってくれて、ホッと胸をなでおろしました。
妄想の中学生像を描いた『かみちゅ!』(第9回文化庁メディア芸術祭アニメーション部門優秀賞受賞作)
――『かみちゅ!』(05)は『R.O.D』に引き続き舛成監督と組まれた作品ですが、方向性はだいぶ違います。その発端は?
倉田
R.O.D』が大変すぎて舛成さんが疲労困憊してしまったので、リハビリというか癒やされる企画をと。なので「舛成さんの好きなこと」をメインにするという理由で、女子中学生が主人公となりました。ほのぼのとした日常生活を少しファンタジー仕立てにして描こうと。結果的には舛成さんがまた大変になるわけですが(笑)。
――時代設定は1980年代にしていますよね。
倉田
僕たちは2000年代の女子中学生は分からないわけで、だったらかつての妄想の中学生でいいじゃないかと。「当時はこうだったに違いない」という、完全に先入観だけで進めていきました。冷静に考えれば80年代は『3年B組金八先生』や『積木くずし』の時代ですから、学校は荒れまくっていたはずですよね。でも「そんなの耐えられない」と、ひたすら逃避しながらつくってました(笑)。これで僕の恋愛要素はすべて使い果たしてしまったので、これ以降は恋愛ものが書けなくなりました。
――尾道の風景も美しいですし、田舎の学校が舞台というのも、時代を先取りしている感じですね。
倉田
尾道は坂の多い街で、後ろに山がある場所で違う方向にカメラを切り返すと海が見えたりする。美術さんにはまたご迷惑をおかけしましたが、面白い画づくりができました。尾道にはロケハンに行ったときは、フィルムコミッションの方がとても親切に案内してくれました。放送後も尾道で上映イベントが開催されたりして、とても愛された作品になりましたね。
――小さい神様が大勢出てくる和風の世界観が印象的でした。
倉田
okamaさんの独特なコンセプトデザインも良かったです。全体に現場のスタッフが若く、エネルギーがすごかったです。中でも作画さんは動かしまくり、描きこみもすごくて、あふれんばかりの情熱でできた作品です。
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